お知らせ

★2025.06.11 安田敏朗著『ローマ字運動がかがやいていた時代:弁護士・森馥の言語運動』が出来ました。電子書籍もあります。
★2025.06.11 横田さやか『未来派・飛行機・ダンス――イタリアの前衛芸術における飛ぶ身体と踊る身体』の書評を『日伊文化研究』63号に掲載いただきました。評者は巌谷睦月氏です。
★2025.06.11 デヴィッド・ロザンド『ヴェネツィア神話――ある国家の図像化』(石井元章訳)が『みすず』「読者アンケート2024:指揮者が選んだ、この一年の本」で飯田芳弘氏に取り上げていただきました。
★2025.06.11 アンドレア・バッティスティーニ『バロック――文化、神話、イメージ』(高橋健一訳)が『みすず』「読者アンケート2024:指揮者が選んだ、この一年の本」で上村忠男氏に取り上げていただきました。

新  刊

ローマ字運動がかがやいていた時代

弁護士・森馥の言語運動

[著者]安田敏朗

ローマ字を日本の「国字」にする。この主張を、熱意をもって実現しようとした人びとがいた。そのための日本語の語彙・文体の整理は、1930年代の言語運動の一翼をになう。ローマ字を通じて「普遍」につながろうとしたこの運動は、時代に寄りそうことも、弾圧されることもあった。こうした運動の多面性を体現した、弁護士・森馥の軌跡をたどり、ついえてしまったかにみえる運動の歴史から、今をよみとく。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 5,000円+税
2025年6月20日/四六判並製/692頁/ISBN978-4-88303-612-7





ドラクロワの物語画と文学

[著者]西嶋亜美

「詩人であれたらどれほどよかったことか! だがせめて、絵画でつくり出すのだ」
文学に焦がれたドラクロワはダンテやシェークスピアを絵画化するなかで絵画独自の快楽を見出し、みずからの様式を発展させていく。その過程を同時代の文脈から考察する。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 5,800円+税
2025年3月31日A5判上製/408頁/ISBN978-4-88303-610-3





日台のはざまの引揚者たち

国境の再編と移動・再出発

[編著]林初梅石井清輝所澤潤

台湾から30万以上の日本人が引揚げた。それから80年近く経った今でも、当時を記憶し、「故郷」台湾を想う引揚者がいる。台湾引揚とは何か? 台湾側の視点、沖縄出身者の境遇も踏まえ、その経験に迫る。

定価=本体 3,800円+税
A5判上製/328頁/ISBN978-4-88303-608-0





民衆画と詞書

[編著]原聖

人々の心をとらえた「絵」と「ことば」
娯楽や信仰の対象として人々に親しまれた「民衆画」。そこには、しばしば「ことば」が添えられ、絵を説明し、ときに絵と共鳴し合うことで、その趣意を民衆の心に、より深く刻んだ。――『源氏物語』起筆の地とされる石山寺の土産の刷り物、中国の親孝行を説く書籍や年画に描かれた「二十四孝図」、近代欧州に広がっていた「呼び売り」の風習など、時代や場所を超えて、その奥深さを紹介する。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 4,400円+税
2025年3月31日A5判並製/276頁/ISBN978-4-88303-609-7





ギュスターヴ・クールベと女性表象

どう描くか、なぜ描くか

[著者]天王寺谷千裕

本書はクールベがその芸術的・政治的信条を際立たせるサロンにおいて、如何に女性表象を扱ったか、画家がどのような役割をそれらに託したのか、という点を時系列に沿った個別の作品研究により解明する。
十九世紀フランス社会において非常に脆弱な立場にありながら、同時に社会の状態を映す指標でもあった女性という存在を的確に捉え、これを描き出すことでクールベは彼が生きた時代そのものをカンヴァスに写し取ることに成功した。 同時代性をして普遍的な人間性を語るクールベ芸術の神髄を表現するうえで、女性表象は特に有効に作用し、彼のレアリスムを達成するための重要な手段となったのだ。

定価=本体 4,091円+税
2025年2月25日A5判上製/298頁/ISBN978-4-88303-604-2





暗示の構造
象徴主義絵画のレトリック

[著者]喜多崎親

絵画の象徴主義を定まった様式ではなく、様々な暗示の方法であると仮定する。
モロー、ゴーガン、ルドン、クノップフ、ミュシャらの絵画が発する複雑で謎めいた効果を「暗示を創り出す画面のレトリック」の視点から考察。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 4,500円+税
2025年2月28日A5判上製/320頁 (カラー口絵8頁+本文312頁)/ISBN978-4-88303-606-6





ジョン・デューイの美学・芸術教育論集

[著者]ジョン・デューイトーマス・マンローアルバート・ C ・バーンズ
     ヴィオレッテ・デ・メイジア
[訳者]中村和世

民主主義に根差した自律的な生き方をつくり出すために、美術教育は何ができるのか。――約百年前の教育理論から、その解が導かれる。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,400円+税
2025年2月20日A5判並製/296頁/ISBN978-4-88303-600-4





演劇と民主主義
演劇学と政治学のインタラクティブ

[編者]平田栄一朗針貝真理子北川千香子

民主主義政治を実際に機能させている「代理」に演劇性が含まれるように、演劇と民主主義はその本質において複雑に交錯している。民主主義への無力感と絶望が高まる世界で、演劇の仮構性・虚構性を活かした政治的発想の転換を11人の演劇学者と政治学者が模索する。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,400円+税
2025年2月28日A5判上製/288頁/ISBN978-4-88303-607-3





21世紀からみたマティス
思考の万華鏡(カレイドスコープ)

[編者]大久保恭子

21世紀になって可能になった視点でマティスの人生と作品をのぞきこめば、いくつもの複雑な像が万華鏡のように出現する。未来をひらく8つのマティス研究。

定価=本体 3,500円+税
2025年2月28日A5判上製/288頁/ISBN978-4-88303-605-9





台湾民主化の先駆者 雷震伝

[著者]薛化元
[訳者]深串徹

中国大陸出身で、国民党幹部であった雷震。しかし、リベラルな政論雑誌『自由中国』誌の責任者としての言動が?介石の忌諱に触れ、1960年から10年間を獄中で過ごす。雷震とその同志たちが生涯をかけて自由と民主憲政を追求した姿は、70年代以後の台湾民主化運動の重要な思想的資源となり、後続世代の政治運動家たちに継承されていく。20世紀、中国・台湾の激動の時代を生きぬいた雷震の生涯を膨大な史資料から克明に描き出した労作。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 6,500円+税
2025年2月1日A5判並製/492頁/ISBN978-4-88303-603-5





中国社会言語学実験教程

「言語的事実」を探究するために

[編著]徐大明
[訳者]河崎みゆき

中国における社会言語学の研究そして実践的教育はどのように行われているのか。研究事例の紹介から、社会言語学の理論的背景や研究手法を解説し、学習者が「社会言語学的実験を行う」ことで、社会言語学を身をもって体験し、日々の「言語的事実」をどのように捉えていくかを学ぶための実践例。30年以上紹介されてこなかった中国社会言語学の現状を明らかにする。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,800円+税
2025年1月25日A5判並製/384頁/ISBN978-4-88303-598-4





ヴェネツィア神話
ある国家の図像化

[著者]デヴィッド・ロザンド
[訳者]石井元章訳

「いとも晴朗なる共和国」、「アドリア海の女王」、どの土地とも異なる、神の意志で作られた特別な場所――そうしたイメージ戦略を成功させ、ヨーロッパに君臨した水都ヴェネツィア。みずからのために生み出したさまざまな題材により自己神話化をはかったヴェネツィアの歴史を国家形成期から18世紀の没落までたどる。

[書評・紹介]
『みすず』「読者アンケート2024:指揮者が選んだ、この一年の本」、選者:飯田芳弘氏

【電子書籍版もあります】

定価=本体 2,800円+税
2024年11月25日A5判上製/224頁/ISBN978-4-88303-602-8





中国高速鉄道と経済・社会発展の新構造

[著]林暁言(Lin Xiaoyan)
[訳]范碧琳(Fan Bilin)

本書は、多角的な視点から中国高速鉄道の理論分析を行い、典型的な事例を紹介することで、地域の交通構造改善におけるその根幹的役割と、高速鉄道がどのように地域経済集合体の成長を促進するかを示している。高速鉄道と地域経済を体系的に論じる。

定価=本体 2,000円+税
A5判並製/176頁/ISBN978-4-88303-601-1





西洋美術研究  No.21

特集:美術とテクネー

[編]『西洋美術研究』編集委員会

 

定価=本体 2,900円+税
2024年10月31日B5判並製/276頁/ISBN978-4-88303-595-3





ことばと社会 26号
特集:言語マイノリティ:人権の拡張か、文化遺産の保護か

[編]『ことばと社会』編集委員会

「言語的多様性の尊重」という理念は、今日、国際世論として定着しつつある。その議論や具体的な法制化が多方面にわたって展開される過程を、「話者の権利」と「言語の文化遺産化」という二つの潮流を座標軸として捉えることで、国内外の多様な「言語マイノリティ」、そして「マイノリティ化された言語」の現在を俯瞰する。

定価=本体 2,600円+税
2024年10月25日A5判並製/360頁/ISBN978-4-88303-599-1





越境文化演劇

[著]ギュンター・ヘーグ
[監訳者]平田栄一朗 津ア正行
[翻訳者]石見舟 北川千香子 栗田くり菜 針貝真理子 三宅舞 ほか

演劇の遊戯性が原理主義の幻想を解体する。グローバル化と原理主義が絡み合う世界で、多文化主義をさらに超えた、異他なる者との共生を導く実践と思考。

[書評・紹介]
《週刊読書人》2025年1月24日、評者:松本俊樹氏
《図書新聞》No.3684、評者:高橋宏幸氏

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,500円+税
2024年10月25日A5判上製/304頁/ISBN978-4-88303-597-7





同盟から決別へ台湾学研究叢書)

グローバル資本主義下の台湾企業と中国

[著]呉介民(Wu Jieh-min)
[訳]日野みどり

広東モデルなくして中国の台頭はなく、こんにちの中国モデルもなかった。本書は、台商の果たした役割を射程に、 珠江デルタ地域での 長期の現地調査で得た実証的データをグローバル価値連鎖理論に依拠して解読する。台商と在地体制・官僚の同盟関係とその終焉、資本家と国家による農民工への二重搾取、自前の価値連鎖の構築を図る中国の目論見とその制約要因などを論じ、「レントシーキング開発国家中国」の概念を打ち出す。世界が中国の政治・経済の先行きに強い関心を持つ今、本書は全く新しい視座を提供する。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 7,000円+税
2024年10月15日A5判並製/610頁/ISBN978-4-88303-596-0





白色テロをくぐり抜けて

[著者]孫康宜
[訳者]杉本史子

第二次大戦後、台湾戒厳令下の恐怖政治の時代、白色テロに襲われた一家族の証言。10 年もの間、無実の政治犯として囚われた父親、そして家族を襲う悲劇。しかし周りの人々に支えられ、ついには家族の解放と穏やかな生活をとりもどす。アメリカ在住の女性学者がつづる国境を越えたファミリーヒストリー。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 2,600円+税
四六判並製/320頁/ISBN978-4-88303-593-9





社会言語学の副読本

異なる言語話者達でつくるコミュニティ

[著]猿橋順子

「世界の言語」の大海原へ――
グローバル化は、「多言語社会」を誰にとっても日常のものにした。本書は、身のまわりに見出される「世界の言語」を深掘りしてみることで、ことばが異なる人、一人ひとりが、互いの違いを尊重し、安全で活力のあるコミュニティを共に築いていくための、あり方を探究する。
行政や企業の多言語対応から、街歩きでの多言語探しの愉しみまで、グローバル・コミュニケーションの羅針盤となるエッセイ集。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 2,300円+税
2024年8月25日A5判並製/248頁/ISBN978-4-88303-594-6





セザンヌと『知られざる傑作』

近代絵画の誕生と究極美の探求

[著者]佐野栄一

バルザック『知られざる傑作』の、究極の美を求めた果てに破滅する主人公フレノフェールこそ「私だ」とセザンヌは自分を指さした。
画家をめざす友を信じて励まし続けてきたゾラ。だが彼の小説『制作』はセザンヌの探求する〈美〉を理解しえないことを晒し、二人は決別する。
二つの小説を手がかりに、近代美術誕生期の芸術観と、その渦中で生きた者たちの友情の機微に深く分け入る。

【書評・紹介】
《週刊読書人》2024年11月1日、評者:荻野哉氏
《図書新聞》2025年1月1日、岡山茂氏

【電子書籍版もあります】

定価=本体 2,800円+税
2024年8月20日四六判上製/296頁/ISBN978-4-88303-592-2





もう一つの世界文学――多言語文学叢書  ケニア/ギクユ語

戯曲 したい時に結婚するわ

[著]グギ・ワ・ジオンゴグギ・ワ・ミリエ
[訳/解説宮本正興

英語と決別し、民族語作家へ転身した現代アフリカ文学界の巨星、ケニアのグギ・ワ・ジオンゴらによる最初のギクユ語演劇作品。独立まもない70年代に地元の人々により野外舞台で演じられたが、やがて禁止処分に。何千何万というケニア人の死をもって贖われたイギリス植民地からの独立の大義が裏切られ、日本やアメリカを含むグローバルな搾取の構造のなかでの新旧カミリズ村の経験は、ケニア近現代史の縮図であるとともに、アフリカ全土、はては世界のポストコロニアル国家の底辺に生きる農民や労働者の生きざまをリアルに照らし出している。

【書評・紹介】
《図書新聞》2024年11月16日、評者:粟飯原文子氏

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,000円+税
B6判並製/400頁/ISBN978-4-88303-560-1