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[目次]
謝辞 iii
序論 1
故郷と異郷 9
第一章 張深切における政治と文学―自伝作品に映された人生の足跡 10
はじめに 10
1 日本統治下の台湾知識人における張深切の位置づけ 12
2 民族意識のめざめ 13
3 「台湾自治協会」時代 16
4 「広東台湾革命青年団」時代 17
5 演劇活動と政治運動 19
6 「台湾文芸聯盟」時代 23
7 『中国文芸』時代 26
8 台湾帰還と隠棲 30
おわりに 32
注 33
第二章 楊基振とその時代―日記に写されたある台湾知識人の心理変化 37
はじめに 37
1 楊基振とその時代 41
1―1 学生時代 41/1―2 満鉄時代 43/1―3 華北時代 46/1―4 帰台後 50
2 日記に見る歴史叙述と時代 51
2―1 戦時華北地区の台湾人の交遊関係と生活情景 52/2―2 戦争の時局に対する認識と戦後経済
の混乱 55/2―3 日本敗戦後の華北国民党軍・八路軍・日本軍 58/2―4 戦後の大陸に旅居してい
た台湾人の財産問題と帰台までの経緯 61/2―5 戦後台湾での諸般の世情―二二八事件前後 64
おわりに 65
楊基振略年譜(稿) 71
注 75
第三章 台湾知識人における「抗日戦争」 78
はじめに 78
1 呉新栄の「抗戦」 80
1―1 「抗戦」勝利後の台湾作家 80/1―2 呉新栄の「抗戦」日記 83/1―3 小結 87
2 陳將蛯フ「抗戦」 88
2―1 台湾光復初期の「天才少女作家」陳將蛛@88/2―2 陳將蛯フ「抗戦」創作 93/2―3小結 100
結語 101
注 103
戦後台湾文化の再構築 9
第四章 戦後台湾における「国語」運動の展開―魏建功の役割をめぐって 108
はじめに 108
1 国府の台湾文化再構築政策 110
1―1 「台湾接管計画綱要」 110/1―2 台湾省行政長官公署の具体策 112
2 魏建功の赴台 115
2―1 戦後初期の「国語」学習状況 115/2―2 魏建功の赴台 119
3 台湾省国語推行委員会の設立 123
3―1 魏建功の構想 123/3―2 台湾省国語推行委員会の設立と工作内容 129
おわりに 135
注 137
第五章 戦後台湾における中国人木版画家黄栄燦の足跡―魯迅木版画思想伝播の役割をめぐって 142
はじめに 142
1 黄栄燦の赴台 144
2 黄栄燦の魯迅木版画思想伝播活動 151
結語 163
注 164
第六章 流用(appropriation)と統合(integration)―戦後台湾における台湾研究の展開 170
はじめに 170
1 台湾省編訳館の設立 171
1―1 陳儀の台湾接収と戦後台湾文化再構築構想 171/
1―2 許寿裳の台湾赴任と台湾研究構想 175
2 台湾省編訳館台湾研究組の業務内容と成果 180
2―1 許寿裳の台湾文化認識 180/2―2 台湾省編訳館台湾研究組の業務内容 184/
2―3 台湾省編訳館の廃止と台湾研究組の成果 189
3 台湾省編訳館撤廃後の台湾研究組構成員のその後 200
結語 203
注 206
テキストの越境と再生 211
第七章 「藤野先生」は台湾へ 212
はじめに 212
1 魯迅作品の台湾への伝播 215
2 日本語雑誌『新聲』について 223
3 「友好のシンボル」として―抄訳版「藤野先生」 230
おわりに 241
注 244
第八章 越境者の越境と虚構―陶晶孫「淡水河心中」論 247
1 ある自殺事件 247
2 台湾時代の陶晶孫(一九四六〜五〇) 256
3 致命的な吸引力―台湾女子の大陸男子との邂逅 265
4 台湾の物語「淡水河心中」 270
結び 277
注 280
第九章 歴史・記憶とディスクール―朱天心『古都』論 283
前言 283
1 歴史記憶とアイディンティティ 285
1―1 歴史とは何か? 286/1―2 アイディンティティを尋ねて―集団意識の妄誕 291
2 記憶を辿る―一つの都市を再建する 297
2―1 失われた「原郷」 298/2―2 桃花源を再生する―個人の記憶の延長 303
3 結びに代えて―語りと対話の手法 308
注 313
第十章 台湾の文学から台湾文学へ―台湾文学の日本語訳とパラダイムシフト 315
はじめに 315
1 七〇、八〇年代日本の台湾文学に対する論述と翻訳 317
2 九〇年代の日本における台湾文学に関する論述と翻訳 320
3 二十一世紀日本の台湾文学論と翻訳 324
4 近年日本で出版された「台湾文学史」と「呉明益現象」「甘耀明現象」「台湾海洋文学」 330
結語 338
注 341
結論 343
余滴 355
余滴一 興民と小説の位置づけ―許寿裳遺稿「中国小説史」初探 356
はじめに 356
1 中国の変動と異文化の衝撃の時代―許寿裳とその時代 358
2 小説―興民(民族精神振興)としての試み 363
3 小説史の執筆―小説の位置づけと新しい視野の構築 368
結び 377
注 379
余滴二 台湾文学作品における台湾語―エクリチュールの邦訳問題を考える 382
余滴三 マレーシア華人の文化郷愁と原郷の追求―『吉陵鎮ものがたり』を読む 387
1 漂泊の作家、李永平 388
2 離散と原郷 390
3 言語の試練と中国性 393
余滴四 [書評]比較の視野による抒情伝統論―陳国球『抒情伝統論與中国文学史』について 397
1 抒情論の近代的意義 399
2 各家の説―抒情の言説の波及効果 403
注 409
余滴五 [書評]融合の地・香港文学史の構築―「香港文学大系1919-1949」を評す 411
前言―重層的な歴史のなかの植民都市 411
中国文学史の複線―大分裂以前(1919-1949) 415
香港―都市のアイデンティティと現地的視点 420
小結 423
注 424
参考文献 425
初出一覧 439
索引 313 |