ポール・セザンヌ《サント・ヴィクトワール山》
北イタリアの巡礼地の生成と変貌

[著者]ゴットフリート・ベーム
[著者]岩城見一實渊洋次

セザンヌが獲得した〈画像言語〉が「見ることに徹底すること」であると理解したとき、それが私たちの現実の見方を方向づけそこに描き出された絵画世界を一変させる。従来のセザンヌ理解を批判的に論じたベームの解釈学的実践の試み。────
セザンヌの芸術は、ひょっとすると20世紀絵画にとっての最も重要な基点を表しているかもしれない。セザンヌは、伝統に属す最後の画家であると同時に、キュビストから現在にいたる画家たちの模範ともなっている。
ゴットフリート・ベームは、セザンヌ後期作品に属す《サント・ヴィクトワール山》の画像上の成果に即して、いかにして観者が目に見える経験としてこの絵画と親密になれるのかを、そして、セザンヌが行った現実解釈の根本的な意味が実質的にどこにあるのかを示す。セザンヌ絵画の最も重要な展開の道筋と通過点が、ここで扱われる主作品を越えて提示されている。証明のために選び出された数々の証言により、哲学、文学にまでおよぶセザンヌの影響史のいくつかの視点も示されている。

[書評]
『美学』233号(2008年冬)「論文・新刊紹介」、評者:永井隆則氏

定価=本体 2,600円+税
2007年12月15日/四六判上製/216頁+カラー折込図版/ ISBN978-4-88303-216-7


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[目次]
  日本語版への序
     日本の読者のみなさまへ  009

  ありふれた人生  013
     伝記、歴史的状況、絵画  014
     セザンヌ論の視点  025

  目に見えるものへの情熱  31
     見えるものを描く  032
     視覚データの役割  037
     コペルニクス的転回  040

  教師としてのピサロ  046
     印象主義の洞察  046
     「教え」  053
     セザンヌの逸脱  059
     モネ(瞬間性)  062
     画像に持続を与えること  066

  自然を読む  070
     現実化するとはどういう意味か  070

  二つの接近  088
     セザンヌは線描する  088
     ジャコメッティにおける省察  095

  水、色彩、紙  103
     モデュラシオン  111
     色のつながり方の論理  114

  サント・ヴィクトワール山  118
     構造のはたらき  122
     変化した自然解釈  129
     空間、時間、運動  134
     静止する目―凸状の物体  138
     色彩  146

  セザンヌとキュビズム  155
     初期キュビズムの風景画  158
     分析的キュビズムへのヒント  162

  文学への反射  166
     ライナー・マリア・リルケ  166
     モーリス・メルロ=ポンティ  171
     ペーター・ハントケ  176

     凡例  008
     註  181
     解説  189
     訳者あとがき  209
     主要文献  213
     年譜  214


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