コレッジョの天井画

北イタリアにおけるルネサンス美術と宗教改革

[著]百合草真理子

カッシーノ会の神学を天井画に具現化した画家コレッジョ。聖堂の立体構造を存分に活かした絵画のイリュージョンが聖なるものとの邂逅を体感させる。
──
空間を巻き込む造形表現の可能性を探求していたコレッジョにとって天井画は、自身の芸術の核といえるものだった。本書ではパルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ修道院聖堂の天井壁面装飾を対象とし、そこで選択された主題の意味、聖堂建築と観者の視点を利用した造形表現を、カッシーノ会の修練や神学と関連づけながら総合的に論じる。

[書評・紹介]
『図書新聞』2022年6月25日号、評者:甲斐教行氏

定価=本体 5,500円+税
2022年2月15日/A5判上製/324頁/ISBN978-4-88303-543-4


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[目次]

序章  9
   一.コレッジョの画業  9
   二.研究史概観  30
   三.本書の問題設定  37

第一章 カッシーノ会とパルマのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ修道院  39
   一.カッシーノ会について  39
   二.コレッジョとカッシーノ会  46

第二章 コレッジョの創意と典礼における機能  51
   はじめに  51
   一.先行研究の諸問題  58
   二.福音書記者聖ヨハネの祝日の典礼  68
   三.外陣の観者に与えられる眺望  74
   四.内陣の観者に与えられる眺望  84
   五.「ヨハネの召天」と修道士の理想  96
   おわりに  101

第三章 キリスト像の成り立ち  105
   はじめに  105
   一.カッシーノ会のキリスト像  107
   二.ドームの《キリストの再臨》と「変容」、「復活」  132
   三.アプシスの《聖母戴冠》  138
   おわりに  152

第四章 カッシーノ会聖堂の図像プログラム(1) ─ ピアチェンツァ、サン・シスト聖堂  155
   はじめに  155
   一.北イタリアにおけるカッシーノ会の聖堂装飾  159
   二.サン・シスト聖堂の西交差廊  167
   三.サン・シスト聖堂の身廊  188
   四.ラファエッロ作《サン・シストの聖母》  193
   おわりに  199

第五章 カッシーノ会の図像プログラム(2) ─ パルマ、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂  201
   はじめに  201
   一.先行研究の概要  205
   二.先行研究の問題点  213
   三.《子羊の犠牲》と《「知られざる神に」と刻まれた祭壇》  216
   四.袖廊における「異教の祭儀」  220
   五.人と神との和解の歴史  225
   おわりに  236

終章 パルマ大聖堂の天井画へ  239

あとがき  259

注  1
人名索引  37
図版一覧  41