芸術愛好家たちの夢

ドイツ近代におけるディレッタンティズム

[編者]佐藤直樹

愛好家(ディレッタント)こそ理想の芸術家――日々の糧のためでなく、純粋に芸術を愛し実践した彼らは近代的な理想的芸術家像の原形となった。包括的研究がされてこなかったディレッタントたちの芸術活動に美術史、音楽学、文学、美術教育学など多様な視点から迫る。

[書評・紹介]
《月刊美術》2019年11月号
《アートコレクターズ》2019年11月号
《図書新聞》2020年2月8日、評者:小黒康正氏
《美術の窓》2019年12月号

定価=本体 4,800円+税
2019年9月5日/A5判並製/415頁/ISBN978-4-88303-494-9


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[目次]

序章 ディレッタント研究のために
  ディレッタント研究序説――その歴史と展開の見取り図  8
  佐藤 直樹

1 章 ディレッタント前史――工房、宮廷、サロン

  ルネサンス期における最初のディレッタント肖像画、あるいは素描を教えるベルナルディーノ・リチーノ  36
  ウルリヒ・フィステラー 岩谷 秋美 訳

  王族たちの美術活動――ザクセン宮廷の素描と旋盤細工   60
  佐藤 直樹

  一八世紀フランスのディレッタンティズム――美術愛好家による作品制作をめぐって  83
  船岡 美穂子

2 章 ディレッタンティズムの転換点

  ヴァイマル古典主義の文脈におけるディレッタンティズムの様相  112
  ヤナ・ピーパー、トルステン・ファルク 橘 由布季 訳

  ヴァイマル公妃アンナ・アマリア作曲《エルヴィンとエルミーレ》を巡って  128
  大角 欣矢

  愛好家のための方法――一七六〇〜七〇年代におけるアルファベット式芸術事典  170
  山口 遥子

  ゲーテのディレッタンティズム――「収集家とその友人たち」と「ディレッタンティズムについて」  190
  眞岩 啓子

  一八〇〇年頃の侯爵夫人と女性市民階級――ディレッタンティズムにおける共通点はあるのか?  218
  コルドゥラ・ビショッフ 杉山 あかね 訳

3 章 「天才=ディレッタント」

  作曲家メンデルスゾーンの素描と水彩画――スイス旅行を例にして  244
  星野 宏美

  ディレッタントの芸術としての「ランドスケープ・ガーデニング」――ピュックラー=ムスカウと『親和力』の世界  277
  尾関 幸

  カール・グスタフ・カールスのディレッタンティズムと近代社会  303
  仲間 裕子

終章 「新しい芸術家=ディレッタント」の未来

  教育学から見たディレッタンティズムの可能性  338
  小松 佳代子

  あとがき  363

人名索引  1
資料:フリードリヒ・フォン・シラー「ディレッタンティズムに関する見取り図」  6
引用図版出典一覧  8

Die ersten Dilettanten-Portrats der Renaissance, oder: Bernardino Licinio unterrichtet im Zeichnen 12
Ulrich Pfisterer

Erscheinungsformen des Dilettantismus im Kontext der Weimarer Klassik 24
Jana Piper | Thorsten Valk

Vereint im Dilettantismus? Furstinnen und Burgerinnen um 1800 33
Cordula Bischoff


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