国文学とナショナリズム

沼波瓊音、三井甲之、久松潜一、政治的文学者たちの学問と思想

[著者]木下宏一

国文学から「新国学」へ
近代国家体制において「国文学」はいかに「国家ノ須用ニ応スル学術技芸」(「帝国大学令」第一条)たらんとしたか。明治 ・ 大正期の東京帝国大学で国文を専修した三人の政治的文 学者たちの学問的・思想的展開を跡づけ、近代学問としての国文学と近代思想としてのナショナリズムが ダイレクトに接近 ・ 融合し、各々の「新国学」へと昇華されていく様態を通時的に明らかにする。

定価=本体 2,300円+税
2018年4月10日
四六判並製/244頁/ISBN978-4-88303-456-7


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[目次]

序論 
      一 本書の目的  2
      二 基本視座の確認  3
      三 考察対象と本書の構成  9
      注  12

第一章 沼波瓊音の学問と思想
   第一節 個人から全体への道程  20
      一 はじめに  20
      二 キャリア形成  23
      三 国文学者は「不思議なる宇宙」を驚いたか  26
      四 〈始めて確信し得たる全実在〉とは何か  30
      五 逸脱軌道  34
      六 個人的思考からの脱却  37
      注  39
   第二節 国文学的ナショナリズムの萌芽  46
      一 再び国文学者として  46
      二 ナショナリズム実践運動へのめざめ  49
      三 国文学者は国家革新の夢を見たか  52
      四 「新国学」の建設に着手  56
      五 東京帝国大学講義「日本精神ト国文学」  58
      六 更なる前衛へ、終焉  63
      七 小結  71
      注  73

第二章 三井甲之の学問と思想
   第一節 反漱石とヴント心理学の受容  88
      一 はじめに  88
      二 文学的出発  92
      三 反漱石とヴントの個人心理学(実験心理学)  97
      四 ヴントの民族心理学と「民族的生活」へのめざめ  104
      五 日本はほろびず  108
      注  114
   第二節 親鸞思想の特異的受容  124
      一 三井甲之と親鸞  124
      二 宗祖から教祖へ  129
      三 南無・阿弥陀仏から南無・祖国日本へ  135
      注  140
   第三節 三井流国学の思想  147
      一 「しきしまのみち(ことのはのみち)」:言語論  147
      二 「中今/永遠の今」:時間論  156
      三 小結  164
      注  167

第三章 久松潜一の学問と思想
      一 久松潜一と「新国学四大人」  178
      二 久松潜一と沼波瓊音  182
      三 国文学から国学への志向  188
      四 久松潜一と三井甲之  191
      五 戦後の久松潜一  202
      注  205

総 論 
      一 まとめ  220
      二 今後の課題  222
      注  226

     あとがき  229
     初出一覧  233


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