帝国・国民・言語

辺境という視点から

[編]平田雅博+原聖

帝国あるいは近代国家においても、その領域には複数の政治体やネイション(国民・民族)が暮らしており、複数の言語が話されていた。ましてそれぞれの辺境地域では、より錯綜した多言語状況が存在していた。統治する側は、そうした地域の多言語状況をどのように捉え、対応したのか。そしてそこに暮らす人々にどのような結果をもたしたのかを、検証していく。

定価=本体 2,300円+税
2017年3月15日/A5判並製/304頁/ISBN978-4-88303-418-5


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[目次]

│序 論│ 帝国・国民・言語/平田 雅博+割田 聖史
│序 章│ ――辺境という視点から 001
  一節 多言語状況が生じる領域  001
  二節 帝国と言語  002
     二―一 国民国家と言語・帝国と言語  002
     二―二 アンダーソンの『想像の共同体』  002
     二―三 フィリプソンの「英語帝国主義論」  004
     二―四 「帝国と言語」と教育  006
  三節 言語が問題となる場  009
     三―一 国民国家  009
     三―二 歴史的地域  011
  おわりに  013
      註  014

第一部 帝国と言語
│第一章│ スペイン帝国における言語をめぐる政治/安村 直己
│序 章│ ―ネブリッハの夢と現実 016
  はじめに  016
   一節 カスティーリャ語とスペイン語  019
      一―一 俗語からカスティーリャ語へ  020
      一―二 カスティーリャ語からスペイン語へ?  021
   二節 言語政策の試行錯誤  025
      二―一 言語政策の第一段階:現地語の優先  025
      二―二 言語政策の第二段階―カスティーリャ語化をめぐるせめぎあい  027
      二―三 カスティーリャ語化の復活  032
   三節 インディオ共通語普及政策の実態  037
      三―一 インディオ聖職者の登場  037
      三―二 ナワトル語講座開設のインパクト?  041
   おわりに  043
   註  047

│第二章│ なに語で授業を受けるのか?/佐々木 洋子
│序 章│  ― ハプスブルク君主国の教育制度と辺境都市 049
   はじめに  049
   一節 ハプスブルク家の起源から神聖ローマ帝国  052
   二節 マリア・テレジアとヨーゼフ二世の時代  055
   三節 一八世紀の学校制度  057
   四節 ナポレオン戦争  058
   五節 三月前期と三月革命  060
   六節 トリエステ市の授業語問題  062
   七節 二重君主国の成立  065
   八節 イタリア王国の成立とトリエステのギムナジウム  067
   むすび  070
   註  072

│第三章│ アイルランド語の緩慢な死/平田 雅博
│序 章│  ― 中世から現代までの「長期持続」的観点から 076
   一節 アイルランド島とアイルランド語  076
   二節 第一期―一二世紀から一六世紀まで  077
   三節 第二期―一七世紀から一八世紀まで  081
      三―一 一六五九年のセンサス  084
      三―二 アイルランド語の緩慢な死  086
   四節 第三期―一九世紀地域調査から  088
      四―一 社会階層・都市・年齢と英語  090
      四―二 アイルランド語とナショナリズム運動・大飢饉  091
      四―三 教区学校・生垣学校・国民学校  094
      四―四 一九世紀後半から二〇世紀へ  098
      註  102

│第四章│ 第一次世界大戦前のドイツの国境地域、植民地と帝国日本/西山 暁義
│序 章│  ― 学校教育にかんする視察と報告を中心に 105
   一節 国民国家・帝国の時代の参照・情報収集―日本とドイツ  105
   二節 国境地域の学校視察―学校教育をめぐる政治状況と「坂口事件」  108
   三節 東西国境地域における言語教育問題の政治化  110
   四節 視察の目的と報告内容―坂口、そして保科  115
   五節 併合国境地域から遠隔植民地へ―台湾総督府による情報収集  119
   おわりに  122
   註  125

第二部 国民国家の「辺境」と言語

│第五章│ アルザス・ユダヤ人の「同化」と言語/川ア 亜紀子
│序 章│  ― 一九世紀前半の初等教育政策を例にして 134
   はじめに  134
   一節 アルザスにおけるユダヤ人共同体の発展  136
   二節 イディッシュ語、アルザス語、「アルザス・イディッシュ語」  139
   三節 ナポレオンの対ユダヤ人政策をめぐって  144
      三―一 ユダヤ長老会の設置  144
      三―二 アルザス・ユダヤ人の同化の「遅れ」  145
   四節 初等公教育の開始とユダヤ人の「再生」  147
      四―一 フランスの初等公教育とユダヤ長老会による初等学校の設立  147
      四―二 ストラスブールユダヤ初等学校の設立  149
      四―三 言語の問題  151
   五節 ギゾー法以降のアルザス・ユダヤ人の初等教育  153
      五―一 ギゾー法の頃のユダヤ初等学校  153
      五―二 ギゾー法に対する反応  156
      五―三 アルザスにおける初等教育と言語  158
   おわりに  160
   註  162

│第六章│ ポーゼン州のドイツ語/割田 聖史
│序 章│ ―歴史的地域の失われた言葉を考える 166
   はじめに  166
   一節 ポーランドと「ドイツ」の歴史とその言語  168
   二節 プロイセン領ポーランド、ポーゼン州における言語政策  173
      二―一 プロイセンの言語政策(一七七二―一八七一)  175
      二―二 ドイツ帝国期の言語政策  177
   三節 ベルント『ポーゼン大公国におけるドイツ語』(一八二〇年)  180
      三―一 ベルント  180
      三―二 『ポーゼン大公国におけるドイツ語』   182
   結論  189
   註  192

│ 第七章 │ ドイツ人とポーランド人の狭間に生きた人々/川手 圭一
│序 章│  ― マズール人の言語・宗教・民族的アイデンティティ 194
   はじめに  194
   一節 マズール人の発見  196
   二節 福音派教会のみたマズール人  204
      二―一 オルデンベルクの視察旅行  205
      二―二 福音派総教会・学校視察  210
   三節 マズーレンにおける言語状況とマズール人  219
      三―一 ゲルマン化政策とマズール人  219
      三―二 ポーランド・ナショナリズムとマズール人  224
   エピローグ  228
   註  230

第三部 前近代における文化移転と言語の形成

│第八章│ 西欧における諸言語の形成と文化移転/原 聖
│序 章│ ―ケルト諸語を中心に先史時代から中世初期まで 236
   はじめに  236
   一節 先史時代の欧州  237
      一―一 印欧祖語論  237
      一―二 印欧語のなかのケルト語派  239
   二節 ローマ帝国の言語  240
   三節 ローマ帝国周辺の諸言語  241
      三―一 ガリアとローマ  241
      三―二 ガリアとフランク  243
      三―三 ゲール語派  246
      三―四 ガリアとアルモリカ  248
   四節 アングロ・サクソン語と古英語  251
      四―一 アングロ・サクソン語  251
      四―二 古英語  253
   五節 北方の民(バイキング)とノルマン人  254
   六 まとめ  256
   註  257
   基本語彙の解説  261

│終 章│ 言語をめぐる歴史研究/原 聖
│序 章│ ―西欧近代の言語社会史 265
   はじめに  265
   一節 比較言語学  266
   二節 構造主義、社会学的研究  269
   三節 社会言語学、言語社会史研究  272
   まとめ  276
   註  278

あとがき  281

執筆者紹介  286


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