日仏「美術全集」史

美術(史)啓蒙の200年

[著者]島本浣

美術全集をあなどるな。美術全集を再考して見えてくる美術(史)のはらむ問題圏。
19世紀初頭から20世紀末までに出版された日本とフランスの「美術全集」年代史を縦糸に、美術(史)受容、近代美術史観生成、美術啓蒙のエクリチュ―ル、加えて全集企画者、美術出版社、図版印刷史など多様な問題群を横糸として織り上げた、過去に類例のない研究書。

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[書評・紹介]
『美術の窓』「新刊案内」、2016年4月号
『週間読書人』2016年4月8日、評者:喜多崎親氏
《日本経済新聞》「目利きが選ぶ3冊」2016年4月21日、選者:井上章一氏
《産経新聞》「読むアート」、2016年5月13日夕刊
《図書新聞》2016年6月11日、評者: 太田智己氏

定価=本体 5,600円+税
2016年1月30日A5判上製/528頁/ISBN978-4-88303-394-2


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[目次]

はじめに  11
           美術全集と社会/美術全集の終焉/本書の見取り図

序章  21
   1  用語法 全集、叢書、文庫、その他の用語  21
           日本の場合/仏語の場合
   2  美術全集が美術全集である場 日本とフランス  30
           見える場1 ―図書館、美術館閲覧室、古書店/見える場2 ― 書棚、書斎/表象される場1 ― 本と           冊子の 中の美術全集表象される場2 ― 電子カタログ

第一部 フランス編   41

T章 フランスにおける美術全集書誌学 曖昧さと不透明さ  43

U章 胎動 十九世紀前半から第二帝政期まで  49
   1  十八世紀と啓蒙のかたち  49
   2  十九世紀前半 美術全集の祖型  51
           美術館名品集/教養文庫と美術/美術実用書/モノグラフィ―/美術史書

V章 美術全集の誕生と発展 十九世紀後半から第一次大戦(一九一四年)まで  68
   1  一八七〇年代から八〇年代 美術全集の誕生  70
           カンタン書店/カンタンの小型全集/他の書店・出版社の全集/二つの中・大型全集 ― 美的エッセ          イ対実 証主義記述/フランス美術史学会と「美術史研究」叢書
   2  一八九〇年代 アンリ・ロランス出版を中心として  81
   3  美術全集の確立 一九〇〇年から第一次大戦まで  84
           美術家の大衆化と小型全集(叢書、文庫)/タイトルの類似について/小型美術全集(叢書・文庫)           の多様化/美術全集における近代美術史記述 ― 「アルス=ウナ/美術史概説」/中・大型全集と
           レパ―トリ―の拡 大 ― 都市・美術館・名品/「見る」カタログ・レゾネとモノグラフィ―/最初期の「美           術史」全集/図版と全集 ― 「ゴ―ワンズ小美術叢書」を中心に

W章 二つの美術史書 アンドレ・ミシェルとエリ―・フォ―ル  106
           美術史書/「ミシェルの美術史」/エリ―・フォ―ルの『美術史』

X章 美術全集の浸透 両大戦間(一九一八〜一九四四年)  121
   1  ヴィジュアル化 図版の多用  123
           薄手の中・大型の画集的全集の定着/小型判におけるヴィジュアル化/編集のヴィジュアル化/           ヴィジュ アル化をめぐって
   2  「近代美術(史)」と美術全集  137
           「新しい」と「今日」の美術全集/「アヴァンギャルド」という「芸術( ART )」/ジョルジュ・ベッソンとク
           レス出版 /「近代の」美術/古今の巨匠/ヴィジュアル化と近代美術(史)観 ― 図版の「見栄え」を
           めぐって
   3  スキラ出版の登場  158
           アルベ―ル・スキラ/「フランス絵画の至宝」/タイトルの新しさと執筆者 ― 絵画の文学化/色彩図
           版の新 しい見せ方とテクスト

Y章 第二次大戦後 一九七〇年代まで  167
   1  「世界」と「文明」の美術全集  169
           カテゴリ―としての「世界」と「文明」
   2  「形の宇宙」  177
           アンドレ・マルロ―/『空想の美術館』と二重括弧の芸術/「形の宇宙」
   3  「芸術と大文明」  194
           誕生 ― ルシアン・マズノとルロワ=グ―ラン/「芸術と大文明」/「文明」の美術全集を考える
   4  第二次大戦後の美術全集 その他の傾向  202
           ポケット本(文庫)と美術全集/カタログ・レゾネの全集/「フランス美術 ― 画家のモノグラフィ―」/
           フラマリオンの「絵画の古典 ― 全絵画作品」

Z章 ハイ・カルチャ―としての美術(史)の啓蒙 スキラの戦後  216
   1  一九八〇年代までの書誌と分析  217
           「絵画―色彩―歴史」から「クラシック」まで
   2  糊付け図版  228
   3  名画主義を超えて 二つの叢書  230
           「芸術、思想、歴史」/「創造の小径」

[章 一九八〇年以降  240
   1  美術全集の減少  240
   2  終わりを生きる美術全集  242
           巨匠と名画の全集とガイドブック的全集
   3  大型の展覧会カタログと美術全集  244
           ポンピドゥ―・センタ―と大型展覧会のカタログ/国立美術館連合―グラン・パレでの展覧会カタログ
           と美術全集
   4  フラマリオン、ガリマ―ル、タッシェン 全集と叢書  250
           「絵画の古典」以後のフラマリオン―「全美術」全集/ガリマ―ルの「発見」叢書/「発見」叢書と芸術
           への新しい関心/『ダヴィッド―芸術と政治』をめぐって/ポストモダンな出版社タッシェンと美術全集
   5  美術全集と美術史叢書  268
           美術史叢書の専門化

第二部 日本編  277

T章 「美術全集の国」の始まり  279
   1  『西洋美術全集絵画索引』をめぐって  279
           画像レフェランスとしての美術全集/掲載図版画家ベスト一〇
   2  兆候  287
           審美書院「真美大観」―日本初の美術全集?/明治期の西洋美術史書/全集のイメ―ジ

U章 美術全集誕生 大正期  293
   1  幻の全集? 「現代美術叢書」と日本洋畫協会 〜大正三年  293
   2  「美術叢書」と向陵社 〜大正五年  294
   3  洛陽堂と二つの全集  300
           白樺派と「泰西の繪畫及び彫刻」(大正四〜八年)/木村荘八と「繪畫叢書」(大正五〜一〇年)/木
           村荘八の概念的エクリチュ―ル
   4  日本美術學院の美術全集  315
           「泰西名畫家傳」(大正一〇〜十一年)と「世界現代作家選」(大正一〇〜十二年)/野尻清彦(大佛
           次郎)の文学的エクリチュ―ル

V章 美術全集の定着 関東大震災後から昭和戦前期(第二次大戦終了まで)  329
   1  岩波書店と「美術叢書」(大正十三年〜昭和四年)  330
   2  アルスとアトリエ社  332
           アルス美術叢書(大正十四年〜昭和三年)/アトリエ社と「画集」/アトリエ社の画集全集と鑑賞用
           図版/アトリエ社の「西洋美術文庫」(昭和十三〜十六年)

W章 「美術全集」の登場 平凡社「世界美術全集」  356
   1  誕生の契機 円本時代の美術全集  358
   2  「世界美術全集」という企画 下中彌三郎と「コスモポリタニズム」  361
           「世界」というタイトル/企画者、編集委員/下中彌三郎
   3  「世界美術全集」と「ミシェルの美術史」  369
   4  「見る」美術史としての「世界美術全集」  380
           執筆者とエクリチュ―ル/「見る」全集/家庭の美術館
   5  「世界美術全集」以後  387
           平凡社「世界裸体美術全集」(昭和六年)/美術史理論叢書他

X章 第二次大戦後と子どもの美術(史)  391
   1  戦後の美術全集概観  392
           刊行点数、出版社、大型化/戦後の美術全集史の記述法
   2  子どもの美術(史) 一九五〇年代  395
           「少年美術館」(岩波書店)、「少年美術文庫」(美術出版社)、「少年世界美術全集」(実業之日本社)
           /「少年少女世界美術全集」(保育社)と「現代世界学童美術全集」(河出書房)/子どもの美術(史)

Y章 平凡社第二次「世界美術全集」 日本の「美術史学」事始め?  408
           「世界美術全集」、戦前と戦後/「ミシェルの美術史」の実現?/「世界美術全集」分析―二つのサン
           プル

Z章 平凡社「世界美術全集」以降の「世界」という名の美術全集  420
   1  一九五〇年代  421
           美術出版社、河出書房、平凡社/国際出版と平凡社
   2  一九六〇年代  425
           講談社を除く大手出版社からの「世界」の美術全集
   3  講談社の美術全集  431
           小型の全集(文庫)/六〇年代の講談社の「世界」の美術全集
   4  一九七〇年代  437
           学習研究社、講談社、中央公論社、小学館

[章 一九八〇年以降の動き 「世界」の退潮と新しい形式  444
   1  八〇年代以降の「世界」の美術全集  444
           小学館「世界美術大全集 西洋編」 ― 最後の輝き?/美術全集における「世界」を考える/「本場」
           としての「世界」と「外」という「世界」
   2  テレビと新聞社の参入と全集の雑誌化  454
           NHKと美術全集/朝日新聞と雑誌化 ― 週刊朝日とアサヒグラフ別冊/「アサヒグラフ西洋編」執筆
           記

終章にかえて 美術全集の黄昏と現代ア―ト  465
           近代美術の死?/現代ア―トと場への回帰/あるフランス人ア―ティストの「イン・シテュ」/美術全
           集の黄昏とライブ感覚

あとがき  473

注  1
参考文献について  25
日仏美術全集リスト  26
人名索引  40


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