加速化依存症

疾走/焦燥/不安の社会学

[著]ましこ・ひでのり

ヒトはなぜヒトはなぜ走りつづけるのか。ネット社会をはじめとした技術革新、移動や情報
伝達の超高速化は、時間的ユトリや幸福をもたらさず、皮肉にも、不安とあせり、そして格差を助長する。ヒトをおいたてる現代社会の切迫感はどこからくるのか。「時間泥棒」の正体に肉迫する。

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《東京新聞》「考える広場」、2014年4月19日

定価=本体 1,700円+税
2014年3月15日四六判上製/200頁/ISBN978-4-88303-359-1


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[目次]

     凡例≒構成と注意 7

はじめに 9

1章 加速化のとまらない現代 11
  1-1 高速移動と情報化社会のもたらしたもの 12
  1-2 「時間泥棒」はどこにいる? 24
  1-3 加速化社会のもたらした「ヒマ」 32
  1-4 死ととなりあわせの超合理化圧力 36

2章 おおきく、おもたく、永続しようとする存在から、ちいさく、 かるく、流動消失しようとする存在へ 39
  2-1 軽薄短小で流動化した社会 40
  2-2 インターネット時代の含意 45
  2-3 コンピューターによる労働力の不要化 50
  2-4 マクドナルド化の普遍化 56
  2-5 誇示される時間的ユトリと格差社会 60

3章 「待子サン」たちの時間:加速化のなかのジェンダー変容 63
  3-1 「常時臨戦的待機モード」というポジション 64
  3-2 主婦層=有閑層という敵視・非難 68

4章 「おれさま」意識(ジャイアニズム)と、「せかす」圧力 83
  4-1 道路網の実質「自動車専用道」化にみる「先着順」競争の欺瞞性・ 偽善性 84
  4-2 被害者意識としての被阻止感の心理メカニズム:圧迫感と省時間意識 91
     4-2-1 「人生のインフレ」がもたらす「充実度競争」のひろがりと心理的圧迫 91
     4-2-2 「ながら」?「ザッピング」?「マルチタスキング」?「はやおくり」 92
     4-2-3 「多忙依存症」の伝染 93
     4-2-4 「ときはカネなり」意識の自己目的化=倒錯性 94
     4-2-5 「せかす」圧力につきうごかされる心理メカニズム 97
     4-2-6 「時間世界の平準化」 98
     4-2-7 「孤独なランナー」たちの焦燥感と「でおくれた感」 102
     4-2-8 「カラダが資本」意識と「リラクゼーション産業」 106

5章 スピード感への耽溺現象の人類学 111
  5-1 疾走がもたらす興奮の誘因 112
  5-2 前方からの圧迫感 115
  5-3 「おもたい」という心理メカニズム 115
  5-4 「輸送力」幻想のひろがり 117

6章 「ユックリズム」の含意とゆくえ 121
  6-1 家電製品など利便性の実現 122
  6-2 加速化社会の反動としての減速志向 125
  6-3 「修行」としての清掃活動 128
  6-4 「修行(?)」としての禁固刑 134
  6-5 「リゾート」志向の心理メカニズム 136
  6-6 アニメ『サザエさん』のマンネリズムの含意 138

7章 つかいきれない速度:大量生産・高速輸送がもたらす飽和と大量廃棄 141
  7-1 技術革新がもたらした過剰生産・市場飽和 142
  7-2 「未消化」のままふえつづける商品 146

8章 人材のマクドナルド化:新兵補充と「リストラ」 151
  8-1 「人材」「有用動物」の過剰生産と大量廃棄 152
  8-2 ひとづくりの、ムリ・ムダ・ムラ 154
  8-3 コンピューター化社会が加速した「人材」のマクドナルド化 157
  8-4 ひとづくりのマクドナルド化 158

9章 「自然」とマクドナルド化など加速化社会 163

おわりに 加速化をやめようとしない社会とその限界 169

     参考文献 182
     索引 187


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