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               [目次] 
謝辞 3 
まえがき 11 
      第1章 ある大正人の一日 大正九年五月 17 
             大正九年五月の家庭生活/新聞の画期的発展/戦争の余煙/不況の嵐/市電の停留所で/ 
           ラッシュアワーの背景/高橋財政の破綻/十二時の午砲/消費の殿堂・三越/大正時代の洗濯/ 
           日本婦人の家事労働/映画とオペラの都/大正九年の当たり狂言/ケェーオスの街東京 
      第2章 巨大都市東京の誕生 39 
          1 東京大正博覧会 40 
           博覧会の開幕/未来を計画する/工業化と人口革命/工業国への離陸/都市人口の発展/ 
           日本再開発運動 
        2 薩長内閣から政党へ 49 
           護憲運動と大正政変/憲政擁護・閥族打破 
        3 大東京建設計画 52 
           大東京建設の新しいプラン/二人の実業家/金融王の執念/東京湾埋立計画/海から掬った金 
        4 夜の開発 58 
           水主火従時代への口火/都市の新しい光/第三の「夜の発展期」/大東京の交通網  
      第3章 成金の輩出 65 
          1 イノベーション 66 
           第一次大戦とイノベーション/国鉄の危機/丹那トンネル着工/大事故の続出/魔のトンネルへの挑戦/ 
           自動連結機の採用/英仏の鉄道技術  
        2 新しき人間類型 74 
           カルピスは初恋の味/カルピス成功の基礎/服装革命の武器/ミシン業界のイノベーター/ 
           アタチンと自転車用ランプ/イノベーター群像と財閥   
        3 成金と米 82 
           成金景気のひろがり/三大船成金/成金時代の生活/メイド・イン・ジャパンの由来/ 
           驚異的なインフレ時代/米騒動と成金襲撃/国民のギリギリの要求/日本リベラリズムの弱点 
      第4章 大量消費型の社会 91 
          1 大衆社会の成立に向かって 92 
       大量消費時代の到来/サラリーマン社会の形成/充実した消費生活/甲子園野球のルーツ/ 
       宝塚歌劇とソーライス/デパー卜の「土足入場」/大衆社会に向かって   
    2 衣食住の合理化 99 
       着物から洋服へ/洋装への反発/女性の職業参加/制服とアッパッパ/パン食の普及/ 
       大正の三大洋食/カフェの大衆化/低い食肉消費量/最大の社会問題/文化住宅とモダンリビング 
    3 道徳としての統計 110 
       大衆的な人間/管理社会の誕生/ハウツーものの大流行/第一回国勢調査/地下鉄の生みの親/ 
       統計の価値 
      第5章 大正文化の成立 117 
          1 文化の商品化 118 
           文化の商品化/秘訣は三分のハイカラ性/大衆文化の精神/スター第一号/ラジオ時代の開幕/ 
           中立性という名の権力追随/明治文化を代表する漱石/大衆文化と教養主義/ 
           日本文化の脱アジア的性格    
        2 性の扱われ方 128 
           大正期の性意識/遊廓の実態/日本ムスメの出生地/荷風と夢二/もっとも屈辱的な公娼制度/ 
           洲崎遊廓事件/救世軍対三業組合/雑誌『廓清』の栄光 
        3 自由画の周辺 138 
           大正文化のメッカ/文士村成立の背景/山本鼎の自由画数育/自由そのものを教育する/ 
           自由画運動の波紋/農民と芸術を結びつける/ユートピア的な地域主義/リベラリズムと皇室中心主義/ 
           国家の枠内にとりこまれる 
      第6章 時代としての大正 149 
          1 主婦が潜水艦に乗った日 150 
           カルチュアセンター大正版/タンクと婦人見学団/世界初の女性潜水艦搭乗ルポ/軍部の大サービス/ 
           国防国家への道/在郷軍人と女性の役割/しくまれた社会見学/服従と順応 
        2 軍服を着てストをした労働者 157 
           未知の労勧運動/軍服を着て対抗する/真の忠君愛国の士/デモクラシーの悲劇/ 
           農村に根をはる軍国思想/在郷軍人会除名は家門の恥/震災がもたらした不安/朝鮮人の虐殺  
      第7章 時代区分としての大正 167 
          1 大正という時代をどうみるか 168 
           「大正デモクラシー期」をめぐって/大正デモクラシーの過大評価/荒正人の提言/ 
           「一九一〇年代―一九三〇年代」 
        2 世界史の転換期としての一九一〇年代 173 
           一九一〇年代研究の課題/日露戦争と植民地公娼制度/大連における公娼制度/ 
           からゆきさんの誤ったイメージ/棄民としてのからゆきさん/大連における廃娼運動/廓清会の創設/ 
           植民地廃娼運動の限界/女性からみた海外の出稼ぎ女性たち/男性上位社会日本に蔓延する性病/ 
           漱石『満韓ところどころ』/アンドレ・ジイド『コンゴ紀行』/世界戦争の時代 
        3 世界史の画期としての一九二〇年代 194 
           戦後としての一九二〇年代/戦後体験なき日本社会/ラッセルが見た日本/ 
           世界のレベルに立つ日本文化論/〈一九二〇年代〉ブームの批判的継承/都市文化とモダニズム/ 
           二十世紀の精神的不安/都市とフォーディズム 
        4 国家総動員体制へと向かう一九三〇年代 206 
           世界大恐慌と産業合理化運動/経営技術官僚の指導性/上杉愼吉の国体論/ 
           イタリア「ファシズム」の思想体系/「白人専制」と後進帝国主義/天皇主義サンディカリズム/ 
           北一輝と中国革命/革命的大帝国主義/北一輝の国家改造計画/革新官僚岸信介と大東亜共栄圏 
      補論 文化環境としての郊外の成立 227 
       補論によせて 228 
        1 ユートピアとしての田園都市 230 
           多様な都市モデルの提起/田園都市と花園農村/日本古来の田園趣味の定着/ 
           「郊外生活」にみる理想の田園都市/東京市郊外の開発と文士村/阪神電鉄と『市外居住のすゝめ』/ 
           富豪村芦屋の繁栄/交通機関の発達と阪神モダニズムの興盛/ゆとりある美しい居住空間と園芸趣味 
        2 レジャーとしての園芸 240 
           改造された田園の新色彩/園芸趣味の普及と郷土研究/参加型レジャー活動への発展 
        3 マルチカルチャー社会の端緒的成立 247 
           マリン・スポーツ/六甲山のリゾート開発/風景写真の流行/郊外生活における新しい女性の役割/ 
           消費活動の拡大と家庭会/マルチカルチャー社会の萌芽/交通文化圏の形成 
       むすび 257 
      補論2 公衆衛生と「花苑都市」の形成 259   
        1 田園都市と関一の都市計画 260      
        E・ハワードの田園都市運動/関一大阪市長と「住み心地よき都市」/都市計画大阪地方委員会   
        2 「花苑都市」と大阪の名医たち 266      
        『市外居住のすゝめ』と大阪名医グループ/蔓延する肺結核/阪神電鉄沿線の健康地/      
        郊外住宅地・レジャー施設の開発/「花苑都市」甲子園の開発   
        3 大阪近郊の結核療養所と『松之浜寺』 276      
      わが国最初のサナトリウム/海浜サナトリウム石神病院浜寺支院/吉弘白眼『松之浜寺』/      
      大阪結核予防会/市立刀根山病院の設立  
      むすび 284             
      あとがき 287 
  参考文献 290 
  大正文化史年表 297 
  人名索引 319  |