記号の思想 現代言語人類学の一軌跡
シルヴァスティン論文集

[著者]マイケル・シルヴァスティン
[訳者]小山亘/編 榎本剛士古山宣洋・小山亘・永井那和

難解をもって知られる、現代北アメリカを代表する言語人類学者の論考に詳細な解説をつけた、はじめての論集。オリゴを基点としたコミュニケーション過程のなかに、文法、語用、談話、社会、文化、心理、歴史、その全てを統一的に捉えなおす精緻な理論。言語、認知、相互行為など、コミュニケーション実践に焦点を据えた現代社会文化研究の先端、極限を<今ここ>に刻印する。社会文化コミュニケーション論による「言語学」の超克、そして、「認知科学」、「人類学」の再構築。

定価=本体 5,500円+税
2009年5月31日/
A5判並製/568頁/ISBN978-4-88303-246-4
 


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[目次]
 序/マイケル・シルヴァスティン(榎本剛士・小山亘・永井那和 共訳)  001
 第1章 シルヴァスティンの思想──社会と記号/小山 亘 011
     導入 本書および本章の構成、重要語彙の解説 012
     第1節 社会記号論系の言語人類学の思想とその理論的特徴 045
     第2節 社会的経歴と研究の焦点──概要 048
     第3節 シルヴァスティン社会記号論の展開とその思想的支柱 094
     第4節 シルヴァスティンのコミュニケーション理論(I)──言語構造 099
       第1項 格関係と名詞句階層/第2項 コミュニケーション出来事に根ざした普遍文法: 主要な四つの文法       範疇/第3項 述語句・節範疇に見られる指標性の階層/第4項 言及指示継続範疇に見られる指標性の       階層/第5項 節結合範疇に見られる指標性の階層/第6項 音の領域に見られる指標性の階層: ソノリ       ティー、弁別特徴、シラブル構造/第7項 言語構造の一般的構成原理: 総括
     第5節 シルヴァスティンのコミュニケーション理論(II)──言及指示的語用 139
     第6節 シルヴァスティンの言語理論の系譜 「能格」論文(1976)から「言及指示階層」論文(1987)へ 155
     第7節 シルヴァスティンの一般記号理論の系譜(I) 「転換子」論文(1976) 158
     第8節 シルヴァスティンの一般記号理論の系譜(II)──言語、社会指標性、歴史的変遷 「言語イデオロギ
     ー」論文(1979)、「意識の限界」論文(1981)、「ジェンダー」論文(1985) 162
     第9節 シルヴァスティンの一般記号理論の系譜(III)──メタ語用論  「転換子」論文(1976)から「機能の三
      面」論文(1987)、「メタ語用」論文(1993)へ 175
     第10節 シルヴァスティンのコミュニケーション理論(III)──社会指標的語用 179
     第11節 シルヴァスティンの一般記号理論の系譜(IV)──指標とメタ語用的過程の一般コミュニケーション理
      論 「メタ語用」論文(1993)184
     シルヴァスティン著作一覧(出版年順) 204
     参考文献 216
 第2章 転換子、言語範疇、そして文化記述
 /マイケル・シルヴァスティン(榎本剛士・古山宣洋・小山亘・永井那和 共訳) 235
     訳者による導入 236
     第1節 導入部 251
     第2節 言語的、および、その他のコミュニケーション行為 253
       第1項 発話出来事/第2項 言及指示的な発話出来事/第3項 言及指示的言語範疇/第4項 意味論       と言語分析/第5項 メタ意味論/第6項 共起する非・言及指示的諸機能/第7項 言及指示と「遂行的」       発話/第8項 省略的な延用/第9項 言語記号の語用論的意味/第10項 語用論的範疇
     第3節 言語記号の性質 265
       第1項 発話と文、メッセージとコード/第2項 命題分析/第3項 命題的発話における言及指示的指標       /第4項 言及指示行為の指標的前提/第5項 二重の様態を持つ言語範疇/第6項 使用の規則性/       第7項 指標性の形式的記述/第8項 パースによる記号の三分類法/第9項 類像記号/第10項 象徴       記号/第11項 象徴記号 vs. 転換子/第12項 指標記号/第13項 非・言及指示的指標記号/第14項        指標的前提化作用/第15項 指標的創出作用/第16項指標のタイプ/トークンの分類/第17項 指標       的形態における多機能性/第18項 ディスコースにおける言及指示的類推作用/第19項 文法範疇の語       用論的隠喩/第20項 機能的、および形式的類似物/第21項 機能的差異を示す形式的差異/第22項        指標の形式的特徴
     第4節 語用論と文化記述 297
       第1項 使用の規則性における機能的交替/第2項 発話行為の構成/第3項 発話行為の「文法」/第       4項 多機能性と語用論的戦略/第5項 メタ語用論/第6項 メタ語用論的意識の限界/第7項 メタ語用       論的語彙項目/第8項 語彙項目一般/第9項 語用論的構造と文化的機能/第10項 文化的意味/第       11項 使用前によく振ること(跋)
     原注 313
     参考文献 313
 第3章 言語、そしてジェンダーの文化──構造、語用、イデオロギーが交叉する場で
 /マイケル・シルヴァスティン(榎本剛士・小山亘・永井那和 共訳) 317
     訳者による導入 318
     初出の論集の編者による紹介 323
     第1節 序 326
     第2節 言及指示と述定の範疇としてのジェンダー 333
     第3節 コミュニケーションにおける参加者のジェンダー指標 347
     第4節 社会階層の統計的指標とジェンダー 350
     第5節 一つのパラレル─英語の人称代名詞 362
     第6節 指標的・言及指示的イデオロギーの隠喩、そして改革への処方箋 379
     謝辞 389
     参考文献 389
 第4章 言及指示階層の認知的含意/マイケル・シルヴァスティン(古山宣洋・小山亘 共訳) 393
     訳者による導入 394
     第1節 序 398
     第2節 形態統語的な形式による、命題の項と述語のコード化 413
     第3節 言及指示空間─構造 420
     第4節 言及指示空間─記号論的・機能的な諸考察 437
     第5節 機能的な一般化と含意 460
     謝辞 469
     参考文献 469
 第5章 メタ語用的ディスコースとメタ語用的機能
 /マイケル・シルヴァスティン(榎本剛士・小山亘・永井那和 共訳) 473
     訳者による導入 474
     序 483
     第1節 テクスト、コンテクスト、(メタ)記号作用 490
     第2節 三つの次元での対照 497
       第1項 メタ記号作用の対象/第2項 言及指示的明示性/第3項 語用的な較正
     第3節 語用とメタ語用/メタ語用と語用の弁証法 530
     謝辞 534
     参考文献 534

 あとがき/コミュニケーションの人類学 社会文化と言語研究の基点に向かって/小山 亘 539
 索引 550


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