言語権の理論と実践

[編著者]渋谷謙次郎小嶋勇

言語権は、多言語社会における共通の課題であるが、日本社会もまた例外ではない。本書は、従来の言語権論の精緻な分析を通して、裁判・移住者・子ども・ろう者などの視点から、研究者と法曹実務家が新たな言語権論を展開する。

定価=本体 2,600円+税
2007年10月31日/A5判上製/216頁/ISBN978-4-88303-211-2


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[目次]
  序文    9

第1部 言語権の理論的諸問題/渋谷謙次郎    13
   1章 言語はいかなる財か    15
     1. 自由財としての言語    15
     2. 公共財としての言語    17
     3. コモンズとしての言語    23
  2章 言語権    31
     1. なぜ「権利」なのか    31
     2. 倫理的権利としての言語権    36
     3. 「言語的人権」論    41
     4. 制度と言語権    45
     5. 平等と言語権    49
  3章 言語権と集団的権利論    57
     1. 個人の権利と集団性    57
     2. 集団的権利論からの提起    64
     3. 「共同財」と言語権    69
     4. 集団的権利のジレンマ    76
     5. 集団的権利論から自治論へ    82
          5.1. 領土的な自治 82
          5.2. 文化自治とは 84
          5.3. 文化自治の歴史的事例 86
          5.4. 現代国家における文化自治 89
          5.5. 文化自治と人権 91
  4章 まとめにかえて    94
     参考文献    97

第2部 日本社会における言語権の実践    103
  はじめに    105
  1章 言語に関する権利と法制/小嶋 勇    107
     1. 言語権の概念    107
     2. 言語権概念の必要性    109
     3. 言語権概念の憲法学的許容性    111
          3.1. 新しい人権としての言語権 111
          3.2. 人権の共同行使としての言語権 112
          3.3. 言語権の憲法上の根拠 113
          3.4. 日本に在留する外国人への言語権保障 115
          3.5. 言語権の保障と通訳に関する権利 116
          3.6. 子どもへの言語権保障と学習権 119
     4. 日本の言語政策と言語に関する法制    122
          4.1. 日本の言語政策 122
          4.2. 日本の言語に関する法則 123
     5. 言語に関する権利等が争われた、あるいは、主張された裁判例等    124
          5.1. 外国人名の呼称問題 124
          5.2. ろう者の言語水準と訴訟能力 125
          5.3. 差別語使用問題 125
          5.4. 外国人被告人への通訳費用負担問題 125
          5.5 アイヌ民族裁判 126
          5.6. ろう児への日本手話保障 126
          5.7. その他 127
     参考文献    127
  2章 言語権に関する国際法/小嶋 勇    129
     1. 国際的動向    129
     2. 国際人権の国内的保障としての言語権    130
     参考文献    133
  3章 刑事裁判実務と言語権の実践/小嶋 勇    134
     1. 刑事裁判実務と言語権    134
          1.1. 強制処分時の令状提示あるいは任意処分時の説明 135
          1.2. 被疑者の権利等の告知・説明 136
          1.3. 取り調べと供述調書の作成 136
          1.4. 接見交通 137
          1.5. 起訴状謄本とその翻訳 137
          1.6. 公判手続 137
     2. 通訳に関する諸問題 138
          2.1. 通訳人の確保 138
          2.2. 通訳人の能力・資格 138
          2.3. 通訳言語の選択 138
          2.4. 通訳人の公正性・公平性 139
          2.5. 通訳の正確性 140
          2.6. 通訳費用 140
          2.7. 公判廷での通訳方法(ワイヤレス通訳) 140
     参考文献    141
  4章 民事裁判実務と言語権の実践/宇都宮英人    142
     1. はじめに    142
     2. 言語の選択と事実    142
     3. 各手続段階における言語の問題    145
          3.1. 事件の端緒と申告 145
          3.2. 法律相談 147
               @ 日本語による相談と外国語による相談 147
               A 通訳を介する相談と通訳を介さない相談 148
               B コミュニケーションにおける共通部分と相違部分 150
          3.3. 裁判手続 152
     4. 家事事件と言語    155
          4.1. 離婚事件における親権の問題と面接交渉権 155
          4.2. 約束を細かく決めることと家庭裁判所の考え方 157
          4.3. 「父」と「father」 158
     5. 損害賠償事件と言語    159
          5.1. 損害の把握 159
          5.2. 損害の表現 161
          5.3. 損害の評価 162
     6. まとめ    163
          6.1. 権利擁護と言語 163
          6.2. 自己の言語を使用する権利と通訳される権利 164
          6.3. 自己の言語によって説明を受ける権利 165
          6.4. 言語権と言語選択の権力性(まとめに代えて) 167
     参考文献    170
  5章 移住者と言語権の実践──特に子どもの言語的人権について/古石篤子    171
     1. はじめに──問題の所在    171
     2. 外国人、特に移住者の言語権    174
     3. ことば・学力・アイデンティティ    180
          3.1. ことばと学力 181
          3.2. ことばとアイデンティティ、そして学力 187
     4. 制度と政策    191
     5. 結論──よりよい明日のために    194
     参考文献    197
  6章 日本手話と言語権の実践/小嶋 勇    200
     1. 言語としての手話    200
     2. 日本手話と言語権    202
          2.1. 語順 203
          2.2. 手指単語の文法化 203
          2.3. 頭の動き、目の動き 204
          2.4. 空間の文法化 204
     3. 日本手話による言語権と民族性、エスニシティとの相対化    206
     参考文献    208
  7章 将来の展望──まとめに代えて/小嶋 勇    209
     1. 言語権概念が意味するもの──自己決定の重要性    209
     2. 言語権が果たすべき役割──言語的他者への尊重と共存    210
     参考文献    211

     あとがき    212
     執筆者略歴    214


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