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        [目次] 
      序章 問題の所在 11 
      
        1 はじめに――かえりみられてこなかった時代 12 
          2 他者性のとらえかたと当事者性――少数派と多数派の関係 15 
          3 資料と方法 19 
          4 時代の素描と本書の構成 21 
          5 戦後期の新たな歴史記述に向けて 25 
             
      第1章  『現代のアイヌ』における「現代」の位相――「同化」の物語をめぐるアイヌ像と和人像 31 
      
        1 はじめに 32 
          2 取材の経緯と出版の目的 36 
          3 取材対象者との関係 39 
          4 「現代のアイヌ」の位相――世代、性別、階層と「同化」 41 
             4-1 世代差――過去への「郷愁」と未来への「前進」 42 
             4-2 「同化」のプロセスとベクトル 43 
             4-3 結婚の場面に現れる非対称性 47 
             4-4 男性「成功者」と階層 52 
          5 和人(日本)社会 56 
             5-1 具体的な教員像と抽象的な社会観 56  
             5-2 研究者像――「民族移動のロマン」の意味 59 
          6 おわりに――「同化」の物語の同時代性 62 
             
      第2章  「熊祭り」の
  政治学――「殺す」べきか「殺さざる」べきかをめぐって 69 
      
        1 はじめに 70 
          2 「熊祭り」の浸透度 72 
            2-1 呼称について――なぜ「熊祭り」か 72 
            2-2 「熊祭り」の通俗度 73 
          3 「熊祭り」の報道と形態 75 
            3-1 「古式豊か」な「文化財」/「野蛮」な「見せ物」75 
            3-2 「殺す」べきか「殺さざる」べきか――「動物愛護」への対応 77 
            3-3 アイヌの説明と和人の代弁 82 
          4 シャクシャイン祭における「熊祭り」の末 84 
          5 おわりに 88 
             
      第3章 観光という磁場の力学――「観光アイヌ」再考 103 
      
        1 はじめに―問題の所在 104 
          2 観光人類学の視角――「主体性」を語る場と条件 107  
          3 戦後北海道の「観光文化」におけるアイヌ表象 111 
            3-1 「観光文化」の拡大 111 
            3-2 観光批判の矛先 116 
          4 観光の「内部」と「外部」 120 
          5 「見せる主体」は可能か 123 
          6 おわりに 128 
             第4章 「名作」の誕生と受容(1)――『コタンの口笛』の児童文学性 133 
      
        1 問題の所在 134 
          2 「名作」の地位 137 
          3 「名作」の誕生と普及 139 
            3-1 執筆の経緯 139 
            3-2 アイヌに関する取材と認識 141 
            3-3 書籍販売 142 
            3-4 テレビ・ラジオドラマ化、映画化の影響 144 
          4 受容と批評 146 
            4-1 好評の理由 146 
            4-2 批判のポイント 150 
            4-3 大人の価値づけと子どもの受け止め方 155 
            4-4 批判の表面化 158 
          5 おわりに――「善意こそ全能」 160 
             
      第5章  「名作」の誕生と受容(2)――『森と湖のまつり』の素材と主題 165 
      
        1 はじめに 166 
          2 後年の評価――何の「名作」なのか 167 
          3 「名作」の誕生と普及 169 
            3-1 武田の経歴と『森と湖のまつり』の概要 169 
            3-2 武田のアイヌ認識と執筆の経緯 170 
            3-3 書籍販売 172 
            3-4 映画化の余波 173 
          4 受容と批評 174 
            4-1 賞賛と批判 174 
            4-2 「観光小説」と映画イメージ――通俗性と一般読者 176 
            4-3 「深刻な主題」と娯楽性――「多様な読み」の錯綜 179 
          5 通俗小説か「名作」か――二つの読みの共犯関係 183 
          補遺――二つの異なった「名作」と同時代性 186 
             
      第6章 千島アイヌと
  「領土返還」運動――動員から忘却へ 191 
      
        1 はじめに 192 
          2 千島アイヌの消息 194 
          3 「固有の領土」論の歴史的根拠としての「先住民族」 199 
          4 「返還」運動停滞から活性化、そして千島アイヌ忘却――アイヌ不在の「固有の領土論」へ 201 
          5 おわりに 204 
             
      第7章 和人が語るアイヌ民族の「誇り」――他者への敬意とパターナリズムに関する小考 209 
      
        1 はじめに 210 
          2 「開発の恩人」 212 
          3 「歴史的文化」 217  
          4 「誇り」の語り――「劣等感」から「自覚」「自信」へ 219 
          5 「誇り」の条件とパターナリズム 226 
             
      第8章 ユートピアを志向する
  「開拓精神」と「フロンティア」――北海道開発論と北海道文化論の行方 233 
      
        1 はじめに 234 
          2 戦後北海道開発計画と開発論議 236 
          3 「北海道らしさ」とは 242 
            3-1 教育関係者の「道民性」論 242 
            3-2 梅棹忠夫の「北海道独立論」 243 
            3-3 『北海道新聞』の「北海道を考える」 245 
            3-4 「甘いイメージ」の浸透 247 
          4 「植民地」と「フロンティア」――喪失のユートピア/未完のユートピア 249 
          5 おわりに 255 
             
      第9章  「道民」は
  「人間のルツボ」か――アイヌ民族「同化」論と「道民」形成論の関係 261 
      
        1 はじめに 262 
          2 「アイヌと道産子」 264 
          3 「同化」・「融合」・「混血」 270 
            3-1 「同化」の要件 270 
            3-2 「混血」/「純血」認識 272 
            3-3 「道民」に「アイヌ」は含まれるのか 274 
          4 おわりに 278 
             第10章 農地改革、北海道不良環境地区対策、そして
        北海道旧土人保護法存廃論争 
        ――アイヌ民族と行政府の対立と「協同」 283 
      
                1 はじめに 284 
          2 土地紛争の記憶 285 
          3 北海道不良環境地区対策 291 
            3-1 行政府の問題認識 291 
            3-2 北海道ウタリ協会の働きかけと行政府との接触 298 
          4 旧土人保護法存廃論争 303 
          5 おわりに――「協同」はいかにして可能か 309 
             
      終章  「遠い記憶」と
  「近い記憶」――歴史の「復権」を考えるために 315 
      
        1 はじめに 316 
          2 「遠い記憶」と「近い記憶」 317 
          3 一九七〇年代と現在における「遠い記憶」と「近い記憶」 320 
          4 和人にとっての「近い記憶」――戦争体験、戦後、記憶の形成と忘却のメカニズム 325 
          5 「歴史」の「復権」と過去の蘇生 329 
              あとがき 337 
  参照文献 IV 
  索引 I  |