統合原理としての国語
近代日本言語史再考 III

[著者]安田敏朗

繰り返し立ち上げられる「ナショナリズム」を胚胎する「国語」「日本語」へのポピュリズム的言説。 それらをいまいちど、「近代日本言語史」――近代国民国家日本の形成過程とその帝国的展開のなかで言語がはたした役割――に配置し、その前提を明らかにするとともに、それらを支えてきた「学」のありよう、「研究者」のありようを問い直していく。

定価=本体 2,700円+税
2006年6月20日/四六判並製/376頁/ISBN978-4-88303-178-8

 


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[目次]

  凡例 2
  はしがき 9

序論 統合原理としての「国語」への回帰 14
      1 はじめに──「二一世紀日本の構想」の浸透 14
      2 二〇〇一年度から二〇〇三年度の言語問題 21
            1 諮問『これからの時代に求められる国語力について』にいたるまで 22
            2 諮問『これからの時代に求められる国語力について』の内容 24
            3 答申『これからの時代に求められる国語力について』 28
            4 全体としての批判 35
            5 文化審議会答申における「国語」と「日本語」 41
      3 おわりに──多言語社会日本と言語権の問題 43

第1部 近代化・帝国化する言語──国語・日本語の機能
   第1部 まえがき 56
   第1章 言語的暴力をおおいかくすもの 59
      1 はじめに──ことばと暴力と日本語 59
            1 ことばが暴力をもつこと─共同体の言語所有 59
            2 ことばが暴力をもつとき──多言語社会と言語問題 62
      2 近代国民国家と「国語」 64
            1 「国語」の整備──共時性と通時性もしくは制度と歴史 64
            2 「標準語」・「方言」・「口語」 67
      3 帝国と「日本語」 71
            1 植民地支配と言語──「国語」がうばうもの 71
            2 帝国支配と言語─ 「日本語」がうばうもの 73
            3 「国語」・「日本語」がもたらしたもの 74
      4 おわりに──多言語社会日本と日本語 76
   第2章 言語の帝国化 82
      1 はじめに──帝国の多言語性 82
      2 言語の近代化 87
            1 「俗語」から「国語」へ 87
            2 近代日本における言語と民族 91
      3 言語の帝国化 93
            1 「国語」が国家をこえる力としての「普遍」 93
            2 「国語」を国家内にとどめようとする力 98
      4 帝国化した言語と帝国内諸言語 103
            1 帝国公用語とバイリンガリズム 104
            2 活性化する帝国内諸言語 111
      5 おわりに─ 多言語性の帝国 115
   第3章 一体化する言語と文化 128
      1 はじめに 128
      2 言語と文化の一体化 130
            1 国語教育と近代 130
            2 植民地における国語教育と文化 136
      3 文化政策の登場 142
            1 日本精神論の隆盛 142
            2 「大東亜共栄圏」における日本精神論と文化交流 144
      4 植民地近代と文化 147
      5 おわりに 149

第2部 脱帝国化する言語──国語・日本語が刻印したもの
   第2部 まえがき 158
      1 「敵対的共犯関係」 158
      2 「配電システム」 161
      3 「残滓」か「遺産」か 165
   第4章 「配電システム」移植の前提 171
      1 はじめに 171
      2 約一〇〇年まえの国語国字問題──日本のばあい 172
            1 国語国字問題年表(一九〇四年〜一九〇五年) 172
            2 調査・整理統一の時代 173
            3 教科書表記をめぐる論争──植民地教育への視座 176
      3 約一〇〇年まえの国語国字問題──朝鮮のばあい 182
            1 朝鮮語文体の問題 182
            2 教科書の編纂 183
            3 教科書一元化へ 186
      4 おわりに 187
   第5章 「日本語」という「配電システム」 193
      1 はじめに 193
      2 「配電システム」の再生産 196
            1 再生産の前提 196
            2 帝国大学という場 200
            3 「配電システム」と京城帝国大学 206
            4 「朝鮮語」という「配電システム」 213
            5 排除される「配電システム」 220
      3 「配電システム」の継承 222
            1 「残滓」としての「日本語」 222
            2 「残滓」清算後の「配電システム」 224
            3 「配電システム」としてではない「日本語」──韓国・中国、そして台湾 235
      4 おわりに 238

第3部 「配電システム」というくびき
   第3部 まえがき 250
   第6章 「琉球語」の不在──服部四郎を軸にして 263
      1 はじめに──「沖縄方言」か「琉球語」か 263
      2 一九四五年までの議論 268
            1 「程度問題」としての「言語」と「方言」 270
            2 「姉妹語」と「方言」──通時的観点か共時的観点か 275
            3 「言語」であることの拒否──身体化される「方言」 280
            4 共時的かつ通時的 284
            5 教育の場で 288
      3 一九四五年以降の言説 290
            1 独立の象徴としての「琉球語」 290
            2 きえた「琉球語」 297
            3 「起源論争」への関与 304
            4 沖縄と「共通語」 312
            5 言語年代学のその後 321
            6 理論家としての服部 325
      4 おわりに 333

結論──近代日本言語史の構図 351

初出一覧 368
あとがき 371
著者紹介 374

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