アヴァンギャルド宣言
中東欧のモダニズム

[編者]井口壽乃圀府寺司

第一次大戦後〜1920年代、中東欧で燃え上がったアヴァンギャルド芸術運動におけるマニフェストを集成する初の試み。
第一次大戦後、芸術による社会変革をめざした中東欧の芸術家達は、民族・国境を越えたアヴァンギャルド芸術運動を繰り広げ、各理念を表明する雑誌を公刊した。長い間ベールに包まれてきたそれらマニフェストを集め、交流関係を繙くことにより、ここに初めてその全体像を浮き彫りにする。

[書評]
『美術手帖』2005年11月号

定価=本体 3,300円+税
2005年9月5日/A5判上製/304頁/ ISBN978-4-88303-161-0


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[目次]
  
まえがき/井口壽乃 13

第1部  各国のアヴァンギャルド・グループによるマニフェスト     
  
1 ベルリン
     1 ラウール・ハウスマン、ハンス・アルプ、イワン・プニー、モホイ=ナジ・ラースロー
      「要素主義芸術宣言」『デ・ステイル』(1921)ドイツ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 17
     2 モホイ=ナジ・ラースロー「生産―再生産」
      『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 19
     3 モホイ=ナジ・ラースロー、アルフレード・ケメーニ「力の動的―構成的システム」
      『デア・シュトルム』(1922)ドイツ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 23
     4 カーライ・エルネー、アルフレード・ケメーニ、モホイ=ナジ・ラースロー、ペーリ・ラースロー「宣言」
      『エジシェーグ』(1923)ドイツ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 26
  2 ワイマール
     1 モルナール・フォルカシュ「K.U.R.I.宣言」
     『ウート』(1922)ハンガリー語 (解説・翻訳/井口壽乃) 29
  3 ウィーン
     1 カシャーク・ラヨシュ「絵画建築」
      『MA』(1922)ハンガリー語 (解説・翻訳/井口壽乃) 33
     2 ユーリウス・クリンガー「聖なる日常」
      『ウィーンのポスターアート』(1923)英語 (解説・翻訳/三谷研爾) 43
     column  絵画と詩の出会いからタイポフォトへ/井口壽乃 46
  4 プラハ/ブルノ
     1 カレル・タイゲ「イメージと前イメージ」『ムサイオン』(1921)チェコ語 (解説・翻訳/宮崎淳史) 48
     2 シュティルスキー「絵画」『ディスク』(1923)チェコ語 (解説・翻訳/宮崎淳史) 56
     3 カレル・タイゲ「絵画と詩」『ディスク』(1923)チェコ語 (解説・翻訳/宮崎淳史) 62
     4 カレル・タイゲ「ポエティスム」『ホスト』(1924)チェコ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 67
     5 カレル・タイゲ「構成主義と〈芸術〉の清算」『ディスク』(1925)チェコ語 (解説・翻訳/宮崎淳史) 75
     6 カレル・タイゲ「モダン・タイポグラフィ」『タイポグラフィア』(1927)チェコ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 88
     7 インドジフ・シュティルスキー、トワイヤン「人工主義」
      『ReD』(1927)チェコ語 (解説・翻訳/宮崎淳史) 101
     8 カレル・タイゲ「構成主義の理論に向かって」『建設』(1928)チェコ語 (解説・翻訳/井口壽乃) 105
     column  プラハのドイツ語作家たち/三谷研爾 116
  5 ウーチ/ワルシャワ
          5章解説 加須屋明子 118
     1 『ブロック』の編者による序『ブロック』(1924)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 120
     2 「構成主義とは何か」『ブロック』(1924)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 121
     3 ヴワディスワフ・スツシェミンスキ「B=2」『ブロック』(1924)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 123
     4 ヘンリク・スタジェフスキ「抽象美術について」『ブロック』(1924)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 132
     5 ヘンリク・スタジェフスキ「現代のスタイル」『プレゼンス』(1926)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 133
     6 ヴワディスワフ・スツシェミンスキ「絵画におけるウニズム」
      『プレゼンス文庫』(1928)ポーランド語 (翻訳/加須屋明子) 135
  6 クラクフ
     1 スタニスワフ・イグナツィ・ヴィトキェーヴィチ「絵画の〈デフォルメ〉について」
      『ガゼタ・ヴィエチョルナ』(1920)ポーランド語 (解説・翻訳/加須屋明子) 149
     column  ヴィトカツィとその時代――世界の存在をめぐって/加須屋明子 154
  7 ザグレブ/ベオグラード/リュブリャーナ
          7章解説 荒島浩雅 156
     1 ミロスラヴ・クルレジャ「クロアチア文学のウソ」
      『炎』(1919)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 158
     2 リューボミール・ミツィチ「ゼニート主義」
      『ユーゴスラヴィアの耕地』(1921)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 171
     3 スタンコ・トマシッチ「ゼニート主義(はなしを続けようではないか……)」
      『ユーゴスラヴィアの耕地』(1921)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 175
     4 ブランコ・V・ポリャンスキ「ダダならぬ国の法典」
      『ダダ―ヨック』(1922)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 178
     5 リューボミール・ミツィチ「新たな生と新たな芸術のバルカンの<RUBY CHAR="組織者",
       "トータリターゼ">としてのゼニート主義(抄)」
      『ゼニート』(1923)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 184
     6 リューボミール・ミツィチ「『死んだ運動の伝説』ないしは、ゼニート主義と反ゼニート主義の伝説
      ―ゼニート主義に賛成しないやつはゼニート主義に反対するやつだ」
      『ゼニート』(1926)セルビア語/クロアチア語 (翻訳/荒島浩雅) 187
     7 フェルド・デラク「雑誌『タンク』創刊号の宣言」『タンク』(1927)スロヴェニア語 (翻訳/荒島浩雅) 201
     column  むずかしいせかいのはなし――奈辺に在りや南斯拉夫之国/荒島浩雅 203
  8 ブカレスト
          8章解説/井口壽乃 205
     1 イラリエ・ヴォロンカ「ヴィクトル・ブラウネル」『75HP』(1924)ルーマニア語 (翻訳/早川美晶) 207
     2 アレックス・チェルナト『75HP』(1924)ルーマニア語 (翻訳/早川美晶) 210
     3 イラリエ・ヴォロンカ「アヴィオグラマ―マニフェストにかえて」
      『75HP』(1924)ルーマニア語 (翻訳/早川美晶) 212
     4 イラリエ・ヴォロンカ「シュルレアリスムとインテグラリスム」
      『インテグラル』(1925)ルーマニア語 (翻訳/早川美晶)  215
     5 M・H・マキシィ「造形のポリシー」『インテグラル』(1926)ルーマニア語 (翻訳/早川美晶) 218
  9 ソフィア
     1 ゲオ・ミレヴ「断片」『ヴェズニ』(1919-20)ブルガリア語 (解説・翻訳/ステラ・トドロヴァ・ジブコヴァ) 222
     column  ブルガリアのアヴァンギャルド運動/ステラ・トドロヴァ・ジブコヴァ 227

第2部 国家を越えた国際交流の場へ     
     10 『デ・ステイル』より国際革新芸術家会議をめぐるマニフェスト
          10章解説/井口壽乃 231
     1 デュッセルドルフにおける国際芸術家会議、議事概要(一九二二年五月二九〜三一日)
      『デ・ステイル』(1922)オランダ語/ドイツ語 (翻訳/松野早恵+吉田耕太郎) 233
     2 イワン・プニー、カール・ツァリット、アルノルト・ジルカル「国際革新芸術家会議で決議されなかった
      点について」『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 237
     3 エル・リシツキー、イリヤ・エーレンブルグ「第一回革新芸術家会議(デュッセルドルフ)に対する宣言」
      『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 241
     4 ハンス・リヒター「国際革新芸術家会議(デュッセルドルフ)についての声明」
      『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 243
     5 テオ・ファン・ドゥースブルフ、ほか「デ・ステイル・グループ(オランダ)の弁明
      ――国際革新芸術家会議に反対して」『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 245
     6 テオ・ファン・ドゥースブルフ、エル・リシツキー、ハンス・リヒター「声明」
      『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 248
     7 テオ・ファン・ドゥースブルフ、ほか「構成主義インターナショナル創造的労働共同体」
      『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 251
     8 「デュッセルドルフ国際会議で発表されたイタリア代表の報告より」
      『デ・ステイル』(1922)イタリア語 (翻訳/大野陽子)  253
     9 カシャーク・ラヨシュ、ほか「デュッセルドルフにおける第一回革新芸術家会議に対するグループ
      『MA』のコメント」『デ・ステイル』(1922)ドイツ語 (翻訳/吉田耕太郎) 258
     column  東方ユダヤ人の大移動と近代美術(史)/圀府寺司 261
  11 『MA』国際音楽・演劇特集号1924より
          11章解説/井口壽乃 263
     1 ヘルヴァルト・ヴァルデン「芸術現象としての演劇」『MA』(1924)ドイツ語 (翻訳/三谷研爾) 265
     2 クルト・シュヴィタース「メルツ舞台」『MA』(1924)ドイツ語 (翻訳/三谷研爾) 266
     3 エル・リシツキー「電気機械ショー」『MA』(1924)ドイツ語 (翻訳/三谷研爾) 268
     4 シュトゥッケンシュミット「音楽の機械化:解釈は音楽の破壊を意味する」
      『MA』(1924)ドイツ語 (翻訳/伊東信宏) 270
     5 ギュンター・ヒルシェル=プロチュ「運動の演劇」『MA』(1924)ドイツ語 (翻訳/三谷研爾) 272
     column  音楽機械の夢のもつれ/伊東信宏 275
     column  純粋と混淆――両大戦間の東欧アヴァンギャルド演劇の閃光/永田靖 277

芸術家略歴 279
あとがき/圀府寺司 287
索引  I
図版出典一覧 IX


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