[増補新版] イデオロギーとしての「日本」
「国語」「日本史」の知識社会学

[著者]ましこ ひでのり

有史以来の連続性が自明視される「日本」という枠組みを「いま/ここ」という視点から解体する。

定価=本体 3,400円+税
2003年11月30日/A5判並製/408頁/ISBN978-4-88303-122-1


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[目次]

増補新版に際してのまえがき 009

序章 「急浮上」したかにみえる「沖縄問題」によせて 011

第1章 神学としての国語学/国史学――イデオロギーとしての「日本論」序説 017
 1-1 なぜ国語科と社会科をとうのか 018
 1-2 なぜ現行の学校テキストと,その周辺を対象とするか? 023
 1-3 言語社会学/知識社会学としての,国語学/国史学 026

第2章 イデオロギー装置としての国語 031
 2-1 「国語」とは,「日本語」とはちがうものか? 032
 2-2 「母語」概念の再検討と「国語」概念 036
 2-3 日本語教育からみた国語教育の不可解 042
 2-4 イデオロギーとしての「国語」イメージ 047
 2-5 「国語」の連続性神話の論理構造 061
 2-6 標準口語文法という歴史的逆説 067
     2-6-1 学校文法とは,一体なにものだったのか? 067
     2-6-2 口語文法についての補論(幕末期から現在までのスケッチ) 076
 2-7 漢字イデオロギーの論理構造 081
     2-7-1 命題「漢字なしでは,おなじおとのことばを区別できない」 083
     2-7-2 命題「かきことばは,漢字によって安定している」 092
 2-8 自明視される漢字システムの,構造的矛盾 097
     2-8-1 ワープロの一般化がうきぼりにした日本人の文字意識 099
     2-8-2 みえにくくなってきた,漢字の構造的矛盾 104
     2-8-3 恣意的な漢字システムの固有名詞への圧力 113
          2-8-3-1 方言地名(現地音)への圧力 113
          2-8-3-2 エスニック・マイノリティ地名(現地音)への圧力 115
               (1)北方少数民族のケース 115
               (2)琉球・小笠原などのケース 117
 2-9 よみかき能力の「自明性」 123
 2-10 言語学者の知識社会学――国語教育の背景としての「共通語」概念の機能 131
     2-10-1 「標準語」という術語のなかみと,かきことば 132
     2-10-2 「標準語」とは,実体か? 133
     2-10-3 標準語/共通語/方言の関係性と,言語学者の理解 137
     2-10-4 言語学者の認識水準の国語科教科書への影響力 143
 2-11 イデオロギー装置としての「国語」――小括 151

第3章 イデオロギー装置としての日本史155
 3-1 「琉球・沖縄史」からとらえかえす「日本」史 156
     3-1-1 近世東アジア史における大和/琉球関係 157
     3-1-2 近代東アジア史における大和/琉球関係 160
     3-1-3 戦後史における大和/琉球関係 165
     3-1-4 『高等学校 琉球・沖縄史』のうきぼりにする日本史教科書の現状 166
 3-2 「日本史」の対象とは,なにか? 170
     3-2-1 「国益」がらみの,「領土拡大史」 170
     3-2-2 エスニック・マイノリティについての日本史記述 171
          3-2-2-1 「単一民族」神話 171
          3-2-2-2 〈異物〉をかかえこんだ記憶の抑圧 176
               (1)コリアンについて 176
               (2)3つの辺境=内国植民地,琉球/蝦夷地/小笠原諸島 179
          3-2-2-3 外部にほうりだした存在の忘却 182
     3-2-3 補論:中学校教科書のなかの「日本」史 184
 3-3 「日本」による統合の合理化=目的論的史観 185
     3-3-1 〈物語〉としての「歴史」 185
     3-3-2 反体制知識人のセルフ・イメージと認識レベル 188
     3-3-3 「真実操作」(オーウェル『1984年』) 191
 3-4 イデオロギー装置としての「日本」史と, その周辺知識 194

第4章 イデオロギー装置としての学校教科と周辺知識をこえて 207
 4-1 「大衆消費財」としての教科書類と,その構造的矛盾 208
 4-2 半強制的「大衆消費財」の影響力をめぐる「教科書」問題 217
     4-2-1 テキストのイデオロギー性と,その権力性 217
     4-2-2 入試科目としての「日本」史と,教師としての「日本」史研究者 227
     4-2-3 「日本人」論=大衆消費財としての論理,「日本」史 229
 4-3 地域にとっての日常言語教育の意味再考 239
 4-4 「連続性」神話をのりこえるために 244
 4-5 知識社会学としての国語学/国史学がうきぼりにする,あらたな方向性 248

終章 沖縄諸島/非識字者を包囲する現行制度=われわれの日常意識/生活 253

補論1 方法論について――知識社会学/言語社会学の位置づけ 269

ホロン2 リロンの ジッセン・レー 「ジユー・シュギ シカン」おめぐる チシキ・シャカイガク 281

終章2 国語教育/歴史教育周辺の動向 補遺 287
 2-1 国語科/国語学会/国立国語研究所をめぐって 288
     2-1-1 「国語」への偏愛 288
     2-1-2 「国語学者」たちの看板 289
     2-1-3 国立国語研究所の英訳名称が抑圧したこと 292
     2-1-4 国語科教員の反応 294
 2-2「言語権」と「ろう文化」 296
     2-2-1 「言語権」概念の浮上 296
     2-2-2 「ろう文化」の社会的認知 297
 2-3 漢字ブームという反動 297
     2-3-1 漢字検定という制度 297
     2-3-2 漢字の早期教育 298
     2-3-3日本語論ブームのひとつとしての漢字論のなみ 300
          2-3-3-1 「機能不全」のひらきなおり 301
          2-3-3-2 必要悪論/宿命論 302
 2-4日本語ブームと「音読」 304
 2-5 アイヌ文化振興法の制定の意義 308
 2-6 散文運動の発信基地としての「うちなあぐち村」 309
     2-6-1 「沖縄語復興運動時代」(1990年代) 309
     2-6-2 ウチナーヤマトゥグチの浮上 309
 2-7 「新しい歴史教科書をつくる会」をめぐる動向 310
     2-4-1 「つくる会」の実態と影響力 310
     2-4-2 歴史研究者の動向 313
     2-7-3 歴史教育関係者の動向 315
 2-8 「高等学校 琉球・沖縄史」も「改訂・増補版」刊行 318

あとがき 324
増補新版に際してのあとがき 328
参考文献 333
人名索引 393


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