国民道徳論の道
「伝統」と「近代化」の相克

[著者]森川輝紀

「教育勅語」をいかに近代国民国家のなかで機能させていくか。正統イデオローグとして、元田永孚、井上哲次郎、吉田熊次らは、そのために、いかなる論理を構築したのか。また、それらがいかように受け入れられ、あるいは排除されていったのかを明らかにし、日本近代教育の基底を問う。

定価=本体 2,500円+税
2003年5月10日/四六判上製/240頁/ISBN978-4-88303-118-4



[目次]
プロローグ 9
注 15

第1章 元田永孚の教学論
  第1節 朱子学徒の明治維新 18
     1 朱子学的教化論と近代 18
     2 元田の道心論 26
     3 元田の国教論(神道論) 34
     4 放伐論と聖別化 39
     5 忠孝一体論 44
     注 47
 第2節 教学と教育の間 52
     1 戦時下教育と教学 52
     2 教化と教育 55
     3 教学と「自然の教」「自然の学」 57
     4 教育と教学 60
     5 教学と国教 64
     6 教学の心性 67
     注 71
 第3節 教学と国民教育の間 74
     1 維新官僚と教学の相克 74
     2 田中の国民教育理解――教育と法教 80
     3 国民教育と教育令 89
     4 風俗習慣と教学論の射程 94
     注 99
 第4節 教学論から国民道徳論へ 102
     1 元田の残した課題 102
     2 君徳と孝弟論 106
     3 祖先崇拝と「保守主義的思考」 113
     4 「国民道徳論」への道 120
     注 125

第2章 井上哲次郎と不敬事件
     1 予期せざる陥穽 130
     2 国民道徳と倫理的宗教 132
     3 伝統的国体論と国民道徳論 141
     4 国体論の再構成と国民道徳論 145
     5 王道的国体論と『我が国体と国民道徳』 149
     6 不敬事件と伝統的国体論 156
     7 国体論の顕教と密教 160
     注 165

第3章 吉田教育学と国民道徳論
     1 如何にせば 172
     2 社会的教育学から系統的教育学へ 176
     3 『教育的倫理学』と社会ダーヴィニズム 181
     4 国民道徳論をめぐって―普遍と特殊― 185
     5 国民道徳から国民精神へ―形式と内容― 190
     6 思想問題と国民道徳論 195
     7 教学刷新をめぐって 202
          @宗教的教育をめぐって 202
          A教学刷新評議会と吉田 209
          B「聖訓ノ述義ニ関スル協議会」と吉田 212
     8 普遍と特殊をめぐって 218
     注 220

エピローグ 225
注 229
あとがき 230
人名索引・事項索引 239


HOME