日本人という自画像
イデオロギーとしての「日本」再考

[著者]ましこ・ひでのり

アジア・国内少数派という鏡がうつしだす<みにくい日本>
「日本〈文化/史〉」のもつイデオロギーをあばきだし、死角にかくされた「想像の共同体」としての日本および多数派知識人の「整形された自画像」を、ラジカルかつ痛快に活写し、かつ脱構築する。

定価=本体 2,300円+税
2002年10月10日/A5判並製/200頁/ISBN978-4-88303-100-9



[目次]
 はじめに  007

序章 日本人という自画像 015
 1 「なんじ自身をしれ」  015 
 2 「日本人の自画像」? 019
 3 「日本人の境界」? 021

1章 想像の共同体「日本」再考 027
 1 はじめに 027
 2 国家論への熱意 028
 3 「レコンキスタ」としてのナショナリズム  030 
     3.1 「南方領土」問題としての沖縄返還  031
     3.2 「北方領土問題」の本質  034
 4 「〈日本人〉の境界」再考  036
 5 〈日本人〉の「なかみ」 038
 6 「日本列島=特殊空間」論の破綻  041
 7 「国民史」「国語」教育のありかた再考  042

2章 帝国の幻影――同化主義・排外主義・被害妄想 047
 1 冷戦後アジアのふたつの帝国  047 
 2 抑圧された帝国意識  048
 3 国内少数派への帝国支配  052  
 4 のこされた議論  056

3章 日本人構築のための学術的研究――戦後日本のオリエンタリスト点描  063
 1 はじめに  063
 2 「普通の日本人」イメージの構築のための蔑視/ノスタルジア と「多様性」の統合  64
     2.1 「民族国家日本」イメージの構築装置としての人文社会系諸学 064
     2.2 「縄文人=原日本人」イメージの浮上や稲作文化論の洗練化 067
     2.3 第一線官僚による「普通の日本人」の構築  069
 3 「日本語」の構築と同化吸収圧力  071
     3.1 「素材」としてのアイヌ文化  071
          3.1.1 アイヌ語の「フォーマット化」  072
          3.1.2 .「アイヌ民族」の否定  076
     3.2 「沖縄/先島諸方言」衰亡論という同化イデオロギー  078
     3.3 同化装置としての、ろう児への口話教育  082
 4 「洗練された自画像」と少数派抑圧のための「知的自爆テロ」  087
     4.1 アイヌ民族/沖縄人という「本質化」批判のケース  088
     4.2 「沖縄人も加害者だ」という「知的自爆テロ」  092
 5 おわりに  094
 6 日本人の構築のための学術研究【補論】  096
     6.1 松本和良/江川直子編『アイヌ民族とエスニシティの社会学』  096
     6.2 岡本智周『国民史の変貌』  101
     6.3 三浦朱門編著『「歴史・公民」全教科書を検証する―教科書改善白書』
        勝岡寛次『韓国・中国「歴史教科書」を徹底批判する―歪曲され た 対日関係史』 104
     6.4 丸山隆司『〈アイヌ〉学の誕生』  105
     6.5 バートン,B.『日本の「境界」―前近代の国家・民族・文化』
        バートン,B.『国境の誕生―大宰府から見た日本の原形』  106
     6.6 スチュアート、 ヘンリほか『他者像としてのアイヌ民族イメージを 検証する』  110

4章 オリエンタリズムと観光立県オキナワ・序説 121
  1 はじめに:ツーリズム=観光業という「身分秩序」  121
     1.1 ノスタルジー=みがってな投影としての非日常の消費  121
     1.2 貴族/ブルジョアのコピーとしての擬制的身分秩序の大衆化=普遍化 121
     1.3 オリエンタリスティックな「みおろした視線」による「観光」 122
     1.4 「身分秩序」としてのオキナワ観光 122
 2 大衆的知識のなかの「オキナワ」:構造的誤解という基盤上の 観光立県  123
     2.1 かたより、かぎられる大衆的イメージ(マクロ的産業構造/ミクロ 的風景)  123
     2.2 「ポスト・コロニアル」な空間としての、「楽園オキナワ」  124
     2.3 パンフレットのコピーの記号学的分析  125
 3 観光植民地としての普遍性  127
     3.1 「無国籍」化  127
     3.2 「現地の生活」の消失  128
     3.3 オリエンタリズムとしての現地女性の「性的対象(femme objet)化」 129
 4 観光商品としての「創られた伝統」と「てつかずの自然」  131
     4.1 国民国家の装置としての「創られた伝統」  131
     4.2 アイデンティティ形成装置としての「創られた伝統」  134
     4.3 観光商品としての「てつかずの自然」:エコ・ツーリズム再考  136
 5 おわりに  139
 補論:ヤギ食文化の危機をめぐって  140

5章 イデオロギーとしての「日本」再考――歴史=記憶/結果責任/国民文化:2001年という画期をふりかえる 151
 1 権力の責任と「免罪史観」  151
 2 「日本通史」「日本文化」という構築物  153
 3 歴史教科書業界というレジーム(体制)  156
 4 公教育と国民国家  159
 5 「非暴力主義」という知的抑圧装置  162
 6 琉球列島の地政学1  165
 7 琉球列島の地政学2  168
 8 「知のグレシャムの法則」に無策な知識人  171
 9 「のろい」としての大和魂  174

参考文献  180
索引  189
あとがき  194


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