著訳者紹介


*データは原則として刊行時のものです*

 

中村俊春
なかむら・としはる

1955年、大阪府生まれ。1987年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。国立西洋美術館研究員を経て、現在、京都大学大学院文学研究科教授。専門は、北方バロック美術。主要論文に「ルーベンスと「ペルセウスとアンドロメダ」―寓意・彫刻・自然」(吉田城編『テクストからイメージへ』所収)。著書にRubens and his Workshop: The Flight of Lot and his Family from Sodom(国立西洋美術館)(編著)、
Rembrandt as Norm and Anti-Norm(京都大学文学研究科)(編著)。

 

[中村俊春の書籍一覧]

ペーテル・パウル・ルーベンス
絵画と政治の間で

[著者]中村俊春

戦争の時代を生きた画家が みずからの絵画で叶えようとしたこと────
大工房を構えた宮廷画家であり、外交の場でも活躍したルーベンスは、破格の栄達を極めた17世紀絵画の巨匠である。一方、その世俗的成功は、彼を精神性を欠く通俗的画家と見なす要因にもなった。だが彼は本当に芸術の深みに到達しえなかったのか? その真の姿に画業と政治活動両面から迫る。

定価=本体 4,500円+税
2006年8月25日/A5判上製/452頁+カラー口絵4頁/ISBN978-4-88303-179-5

作品とコンテクスト
ヴァトー《シテール島への船出》
情熱と理性の和解

[著者]ユッタ・ヘルト
[訳者]中村俊春

恋愛の絵画表現
市民的な愛の理想はどう描かれるのか

愛の島シテール島への巡礼の旅は、ヴァトーの作品における中心的なモティーフのひとつである。彼の描いた「フェット・ガラント(雅やかな宴)」や愛の祝祭と同様に、これは、アルカディア的空想世界に属するもので、ルネッサンス以降、この空想の世界において、それぞれの時代を支配する文化に対抗する理想モデルがつくりだされてきたのであった。男女の恋愛を描きだしたヴァトーの絵画には、じつはひそかに、彼の時代に支配的であった国王の宮廷や貴族階級の文化と対立する、市民階級の文化モデルが呈示されているという事実が、本書において明らかにされる。ヴァトーの絵画世界では、市民的な愛の理想が強調されているのである。しかし、その理想は、当時のフランスの市民階級がおかれていた状況に呼応して、宮廷や貴族文化の諸規範とも複雑に結びついていたのであった。

定価=本体 2,000円+税
2004年5月31日四六判並製/158頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-139-9

※本書は、1992年に小社から刊行された同書のカバーデザインを新しくしたものです。


HOME