著訳者紹介


*データは原則として刊行時のものです*

 

神原正明
かんばら・まさあき

1952年、大阪市生まれ。 1978年 神戸大学大学院文学研究科(芸術学芸術史)修了。 現在、倉敷芸術科学大学教授(大学院芸術研究科、芸術学部)。 専門は西洋美術史(ネーデルラント美術史)、図像学。著書に『快読・現代の美術 絵画から都市へ』、 『快読・日本の美術 美意識のルーツを探る』、 『快読・西洋の美術 視覚とその時代』(以上、勁草書房)、 『ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」を読む』(河出書房新社)、 『天国と地獄』(講談社選書メチエ)、 『ヒエロニムス・ボスの図像学』(人文書院)。共著に『異界の交錯(下巻)』(リトン)、 『世界美術大全集 第14巻 北方ルネサンス』(小学館)、 『北方に花ひらく 北方ルネサンス I 』(名画への旅 第9巻)(講談社)。 (2007年3月現在)

 

[神原正明の書籍一覧]

作品とコンテクスト
ブリューゲル《イカロス墜落の風景》
人文主義的ペシミズムの絵解き

[著者]ベアット・ヴィース
[訳者]神原正明

見なさい。
鉄の時代が戻ってくる。
ペルディクスのようにずる賢く、
キリスト教的宇宙の悲しい没落を
冷然と眺めることだ。

オウィディウス『変身物語』第8書「イカロス墜落」。ブリューゲルは、この自明の物語を原典批判的に切り詰め、古い手本にしがみつく不正確な見方のしきたりを覆す人文主義の要求を実現した。時代は、宗教戦争、カトリック国スペインによるネーデルラント支配……愚かな流血で彩られた己の時代に「鉄の時代」の再来を認めた画家は、人文主義者の悲哀をこめて暗号化せざるをえなかった描写に、いかなる予言を込めたのか。

定価=本体 2,200円+税
2007年3月25日四六判並製/132頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-194-8


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