生きられる死

米国ホスピスの実践とそこに埋め込まれた死生観の民族誌

[著]服部洋一
[訳]服部洋一 遺稿刊行委員会
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文化人類学は、「我われ自身の死」について何を語ることができるのか?
現代社会の死生観研究のフィールドを米国のホスピスケアの現場に見いだし、「その人らしい死」はいかに生成されるのか、本書はその理論的枠組みを提出した意欲作であり、自身も医療ソーシャルワーカーとして患者・家族・医療者と向き合いつつ紡ぎあげられた。がんと共に生きることがより身近になった今こそ読みたい一冊。

定価=本体 3,200円+税
2018年9月25日A5判並製/356頁/ISBN978-4-88303-467-3


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[目次]

序 文 船曳建夫…………… vii

まえがき 石丸奈加子…………… xii

第1部 「我われの死」の文化人類学を求めて…………… 1
   第1章 本書の前提と問題意識…………… 3
      1 ? 1  文化人類学と死  4
      1 ? 2  我われ自身の死と向きあうために:終末期ケアの文化人類学の射程  16

第2部 米国ホスピスにおけるフィールドワーク…………… 25
   第2章 米国におけるホスピス運動:フィールドワークの前提…………… 27
      2 ? 1  ホスピスとホスピス運動  28
      2 ? 2  伝統からセント・クリストファー・ホスピスへ:コミュニティとしてのホスピス  34
      2 ? 3  英国から米国へ:哲学としてのホスピス  46
      2 ? 4  確かな財源を求めて:サービスとしてのホスピス  64
      2 ? 5  小結  74
   第3章 米国ホスピスの素顔…………… 79
      3 ? 1  調査対象とした 2 つのホスピス  80
      3 ? 2  米国ホスピスの 1 日:フィールドワーカーの視点から  90
      3 ? 3  多職種チームを構成する専門家たち  103
         3 ? 3 ? 1  医師  104
         3 ? 3 ? 2  看護師  106
         3 ? 3 ? 3  ソーシャルワーカー  108
         3 ? 3 ? 4  スピリチュアル・ケア・コーディネーター  113
         3 ? 3 ? 5  介護助士  116
         3 ? 3 ? 6  ボランティア・コーディネーターとボランティア  118
         3 ? 3 ? 7  遺族ケア・コーディネーター  122
         3 ? 3 ? 8  その他の専門家  124
      3 ? 4  ケアの流れ:受け入れから退出まで  125
         3 ? 4 ? 1  ケアの手順  125
         3 ? 4 ? 2  ホスピスの受け入れ条件  125
         3 ? 4 ? 3  初回訪問  127
         3 ? 4 ? 4  ケアプランの作成  128
         3 ? 4 ? 5  多職種チーム会議  131
         3 ? 4 ? 6  別れの時  136
   第4章 医療用麻薬の活用:薬に埋め込まれた死生観…………… 139
      4 ? 1  医療用麻薬がもたらす差異  141
      4 ? 2  負の側面が安定に資する可能性  152
      4 ? 3  見えないことによる拘束  166
   第5章 教育という解決:ホスピスケアにおける教えと学び…………… 171
      5 ? 1  教えと学びの関係  173
      5 ? 2  米国ホスピスにおける教育の性格  176
      5 ? 3  ホスピスケアの 2 つの方向性  182
      5 ? 4  日本のホスピスケアを巡って  185

第3部 実践の特性:死はいかに扱われるか…………… 189
   第6章 ホスピスが看るものと見ないもの…………… 191
      6 ? 1  遠景としての死から近景としての死へ  192
      6 ? 2  全人的苦悩  195
         6 ? 2 ? 1  身体的苦悩  197
         6 ? 2 ? 2  心理的苦悩  200
         6 ? 2 ? 3  社会的苦悩  201
         6 ? 2 ? 4  霊的苦悩  202
      6 ? 3  実践に映り込むスタッフのまなざし  208
      6 ? 4  スタッフの関心の所在  221
   第7章 終末期ケアが構築する時間…………… 225
      7 ? 1  死と時間  226
      7 ? 2  長い予測と短い予測  228
      7 ? 3  「自然な」過程を支える技術  240
      7 ? 4  ルーティンの再編が構築する時間  243
   第8章 終末期の文脈を形作る力…………… 247
      8 ? 1  死と権威に関するこれまでの議論  248
      8 ? 2  患者と専門家のケアの主導権をめぐる均衡  254
      8 ? 3  権威の分解:専門家間の分業と患者―家族間の力学  265
      8 ? 4  権威の分解がもたらした死の文脈の新しい様相  268

  補遺  1  終末期ケアの現場に紛れ込んだ異邦人として……… 271
      はじめに:米国の「在宅ホスピス」から  273
      1  説得力と違和感  273
      2  選択と責任  275
      3  ホスピスからケアを学ぶ  278
   補遺  2  「従う」「求める」から「向き合う」関係へ:講座「患者の声を医療に生かす」がめざしたもの………… 283
      1  患者会の多彩な機能とその相互作用  285
      2  患者の声の 3 相  289
      3  第 3 の声の可能性  292

文献表 ………… 295

ホスピス、その可能性と危うさ:解説にかえて 松岡秀明………… 309

喪の作業:本書の成立について 渡邊日日………… 317

索 引 ………… 325


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