ヘンリー・フューズリの画法

物語とキャラクター表現の革新

[著者]松下哲也

魔術的画家の人体〈キャラクター〉造形論
《夢魔》など奇怪な幻想絵画で知られるフューズリはじつは主流派アカデミシャンであり、美術史と古典文学に精通する教養人だった。イギリスロマン主義の源流となり、さらに後代の美術家に深い影響を与えた彼の芸術思想と物語絵画の制作手法を、その着想源となった近代観相学や当時の演劇・見世物など視覚文化の反映と共に明らかにする。

定価=本体 3,200円+税
2018年1月31日
A5判上製/288頁/ISBN978-4-88303-450-5


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[目次]

序章  11
   ヘンリー・フューズリとはいかなる画家か  11
   本書の構成と主旨  24

第一章 物語絵画と十八世紀の美術市場  29
   第一節 ロイヤル・アカデミーの年次展覧会  29
    ロイヤル・アカデミーの「設立許諾願記」献上に至る経緯  29
    ロイヤル・アカデミーの年次展覧会の性質  33
    フューズリの出世作《夢魔》  35
   第二節 ボイデルのシェイクスピア・ギャラリー  45
   第三節 フューズリのミルトン・ギャラリー  49

第二章 物語とキャラクターの理論  55
   第一節 「詩的模倣」芸術論  55
    「絵は黙せる詩、詩は語る絵」  55
    レッシング『ラオコーン』の受容とフューズリの「詩的模倣」  57
    「創案」  61
   第二節 身体は「建造」される  65
    《ボーフォート枢機卿の死》にみられる先行美術作品の引用  65
    フューズリの古代ローマ美術研究  70
    五ポイント・ドローイング  74
   第三節 キャラクターを表象する身体  77
    人体プロポーション理論と観相学理論の体系  77
    フューズリとラヴァターの観相学  86
    ラファエッロのプロポーションの多様性  92
    頭部形状とキャラクターの相関性  97

第三章 「劇場は最高の学校」―俳優の演技と物語絵画の「行為」  105
    演劇愛好家フューズリ  105
    ギャリックによる『マクベス』の「復元」  111
    非言語的コミュニケーションの手法を提示したギャリック版『マクベス』  115
    機械論的身体観に基づく「自然」な演技  118
    演劇の「システム」に対するシャルル・ル・ブラン『感情表現に関する講演』の影響  121
    ホガースの演劇画に見られるギャリックの表情と身振り  125
    フューズリの絵画と「共感」  130
    エマ・ハミルトンの「アティテュード」  132
    フューズリの「夢」と時間表現  135

第四章 物語とキャラクターの造形  145
   第一節 舞台空間と絵画の動線  145
    《グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ》  145
    《グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ》の主題と図像の典拠  151
    《グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ》の空間の構造  157
    フューズリのポルノグラフィ  161
    フューズリとサディズム  169
    フューズリと演劇  172
    フューズリの時代の舞台空間  173
    《逃走》の空間  182
    《癩病院の幻想》の空間  185
   第二節 舞台の特殊効果とキアロスクーロ  190
    フューズリのキアロスクーロ  190
    『画法講義』にみるキアロスクーロの規範  193
    ギャリックが演じた『マクベス』の恐怖表現  197
    幻灯機の視覚性に基づく超自然現象の表現  199
    アナロジーとしての情景  206

第五章 次世代に継承されたフューズリの画法  209
   第一節 次世代の画家に対する『画法講義』の影響  209
   第二節 ウィリアム・ブレイクの観相学  214
    ブレイクとフューズリ  214
    身体の普遍性と多様性 ―ブレイクによるレノルズ批判  220
    ブレイクの個展  226
    ブレイクの《古代ブリトン人》  231\
   第三節 ロマン主義サークル「古代人」  235
   第四節 フューズリとラファエル前派の中間世代  240
   結語 テプフェールの観相学  249

あとがき  255

註  1
参考文献  18


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