大学入試の「国語」
あの問題はなんだったのか

[著者]鈴木義里

私たちは、文章をどのように読んでいるのだろうか? 小学校から大学入試までひたすら受けてきたあの「国語」の試験。私たちの「読み」は、その「国語」の試験によって形作られてきたのではないか? 「国語」の大学入試問題の変遷から日本語を考える。

[書評]
《南日本新聞》《山形新聞》他→記事を読む(2011年7月10日《山形新聞》より)

定価=本体 2,300円+税
2011年6月20日/四六判並製/296頁/ISBN978-4-88303-292-1


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[目次]

第1章 試験とは何なのだろう 7
  1-1 試験の憂鬱 7
  1-2 過去形で語られる「大学入試」 13
  1-3 大学入試問題正解 18  
      入試の「攻略本」 18
      入試問題を考える意味 25
  1-4 正解と不正解の間 30  
  1-5 教育と試験 34  

第2章 戦前の試験 39
  2-1 試験という制度 39  
  2-2 近代日本と試験 44  
  2-3 「国語」の創生 49  
  2-4 明治と大正の試験 54  
  2-5 昭和前期・敗戦までの試験 62  
      「現代文」の試験 62
      戦時下の試験 67

第3章 戦後の入試問題 75
  3-1 戦後の教育課程と試験制度 75  
  3-2 エリートの残照(一九四五年〜五九年) 83  
      敗戦直後の入試 83
      旧制高校の名残 91
      「国語」の力の低下 97
      長くなる問題文 102
      問題数の増加 108
  3-3 新制高校の卒業生たち(一九六〇年〜六五年) 112  
      学習指導要領の改定 112
      選択式の問題 116
      傍線部を問う形式 120
      揺れる入試問題の「中味」 133
  3-4 「知性の反乱」とその後(一九六六年〜七五年) 140 
      大量生産される学生 140
      マークセンス方式 145
      早大入試問題の変遷 148
  3-5 共通一次試験 マーク・センスと小論文(一九七六年〜八五年) 155
      共通一次試験の導入 155
      「小論文」の登場 162
      国公立大学の二次試験 167
      「正解」が決められない問題 171
      一橋大の問題――共通一次の前後 179
      教育不信と臨教審 184
  3-6 バブル経済とその終焉(一九八六年〜九五年) 186  
      国公立大学の入試制度崩壊 186
      センター試験への移行 190
      入試方法の多様化と空欄補充問題 195
      客観問題と小論文 204
  3-7 「ゆとり教育」から教育崩壊へ(一九九六年〜二〇〇五年) 207
      日本社会の「劣化」 207
      教育産業の隆盛 214
      説明好きな現代文 218
      戦後入試問題のながれ 225

第4章 入学試験の現在と日本語の未来 229
  4-1 試験問題の問題 229  
      「国語」の入試問題とは何か 229
      難解な文章 233
      大人の常識を子どもにおしつける 236
  4-2 論述問題の問題 241  
      「小論文」再論 241
      推薦入試とAO入試 244
  4-3 大学入試問題と日本語の未来 250  
      入学試験の無効化 250
      日本語の未来 255

  あとがき 259

  注 265
  参考文献 283
  索引 293


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