「共生」の内実
批判的社会言語学からの問いかけ

[編著者]植田晃次+山下仁

多文化「共生」が唱えられてすでに久しい。しかし「共生」の名のもとに、なにが行われているのか。マジョリティのいう「共生」はマイノリティにどう受けとめられているのか? ことばの問題を通して、「共生」の内実を問い、図式化され、消費される「共生」を救い出す試み。

定価=本体 2,500円+税
2006年5月20日/A5判並製/240頁/ISBN978-4-88303-163-4

 


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[目次]
  まえがき(津田葵) 003

  第1章 「共生」への視点としての言語権――多言語的公共圏に向けて(木村護郎クリストフ) 011
     1. 「共生」と言語権 011
     2. 言語権の内容 013
     3. 言語権の認識論 014
     4. 新しい言語権の特徴 018
     5. 言語権の社会構想 020
     6. 言語権になにができるのか 024

  第2章 「ことばの魔術」の落とし穴――消費される「共生」(植田晃次) 029
     1. はじめに 029
     2. 「共生」に取って替わられた「国際化」
     ――「国際化」の消費とそれがもたらした外国語教育の多様化の一側面 030
     3. 「共生」の起源とその台頭の背景 036
     4. 「共生」のイメージ 039
     5. 「共生」の用いられ方 042
     6. 「ことばの魔術」 046
     7. まとめ 051

  第3章 在日ブラジル人を取り巻く「多文化共生」の諸問題(リリアン・テルミ・ハタノ) 055
     1. はじめに 055
     2. 前提として:「多文化共生」とマイノリティ 055
     3. 「多文化共生」とカテゴリ化 057
     4. 「多文化共生」と、消費される「ブラジル文化」 063
     5. 「多文化共生」と同化圧力 070
     6. 「多文化共生」と子どもたちのエンパワメント 073
     7. まとめ:多文化共生社会に向けて 078

  第4章 ホスト住民が持つ外国籍住民との相利共生意識(松尾慎) 081
     1. 研究の背景と目的 081
     2. 調査 083
     3. ホスト住民の相利共生意識 087
     4. 相利共生意識の相互比較 098
     5. 相利共生社会の実現に向けて 102

  第5章 「共生言語としての日本語」という構想
  ――地域の日本語支援をささえる戦略的使用のために(牲川波都季) 107
     1. はじめに――日本語教育学における「共生」 107
     2. 「共生言語としての日本語」と「母語場面の日本語」 111
     3. 「母語場面の日本語」>「共生言語としての日本語」 115
     4. 母語保持という問題 118
     5. 「共生言語としての日本語」の戦略的使用に向けて 119
     6. おわりに 122

  第6章 地域日本語支援活動の現場と社会をつなぐもの
  ――日本語ボランティアの声から(森本郁代+服部圭子) 127
     1. はじめに 127
     2. 問題意識 129
     3. 調査の概要 133
     4. 分析の視座 134
     5. 分析――語りに見られる地域日本語支援活動 134
     6. おわりに 152

  第7章 共生の政治と言語(山下仁) 157
     1. はじめに 157
     2. 共生に関する社会言語学の研究テーマ 158
     3. 「政治と言語」 165
     4. 国会における答弁について 173
     5. まとめ 183

  第8章 談話に見られる人種差別の否認(テウン・ヴァン・デイク) 187
     1. 談話と人種差別 187
     2. 人種差別の否認 189
     3. 否認のタイプ 192
     4. 社会文化的機能および政治的機能 197
     5. 会話 202
     6. 新聞雑誌 206
     7. 議会での談話 218
     8. 結論 229

  おわりに 机上の理論を超えるために(野呂香代子) 233

     あとがき 250
     執筆者紹介 252


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