新ロシア外交
十年の実績と展望

[著者]イーゴリ・イワノフ
[訳者]鈴木康雄

現職外相が明かす21世紀ロシアの外交路線!――
ソ連崩壊から10年、市場経済へと移行し、民主主義国家へと変貌した新生ロシアは、どう外交を展開するのか。プーチン外交の核心を、イワノフロシア外務大臣が包括的、体系的に語る。

定価=本体 2,500円+税
2002年10月31日/四六判上製/286頁/ISBN978-4-88303-105-4



[目次]
日本の読者へ 3

第1章 新生ロシア誕生と外交基本方針 15
      1 新生ロシアの外交基本方針はどう決まったのか? 16
          新外交政策の形成 16  
          二〇〇〇年「ロシア外交の新概念」 18 
          初期外交の基本的特徴 21 
          「親西側路線」からの転換 24 
          新生ロシアの最重要国益 26 
          西側主要国関係の最適路線 28 
          欧州とアジアをつなぐ橋 30
     2 ロシア外交の継続性 34
          外交政策の継続性と改革 34 
          帝政ロシア外交の伝統も生かす 36 
          ソヴィエト連邦の法的継承者 38 
          ソ連外交からの遺産 42 
          ゴルチャコフ外交の基本原則 46 
          ストルイピン改革と啓蒙愛国主義 50 
          伝統としての積極的外交政策 53 
          ハーグ平和会議と軍縮問題 56 
          ロシア外交の多ベクトル構想 58 
          「帝国主義的性格」からの脱却 60 
          ロシア外交の歴史的使命 62

第2章 二十一世紀の新国際秩序 67
     1 「冷戦」後の国際情勢―新たな脅威と挑戦 68
          「冷戦」終結と世界秩序の模索 68 
          「民主化平和理論」の破綻 71 
          先進諸国の“統一お仕着せ”モデル 74 
          NATO中心主義とバルカン危機 75 
          ロシアの多極的国際体制構想 78 
          国際安全保障体制の三つの柱 81 
          国連憲章と国際法の遵守が基本 85

     2 グローバリゼーションの挑戦 89
          新世界秩序確立の推進力 89 
          国際関係の過度な「経済化」 91 
          文化的多様性の喪失と平準化 94 
          国際社会における主権国家の役割 95 
          「人道的干渉」の二重基準 97 
          世界プロセスは合理的管理を 99

     3 ロシアと戦略的安定性の諸問題 102
          ABM条約と戦略的安定性 102 
          戦略的安定性を脅かす「世界ABM」構想 104 
          米国のABM条約離脱と核軍拡 106 
          「問題国家」のミサイル脅威 108 
          ロ米は核弾頭の大幅削減で一致 110 
          「全欧州非戦略的ABMシステム」構想 113 
          国連ミレニアム総会でのプーチン提案 116 
          国際テロと国連安保理決議一二六九 119 
          民主主義的世界秩序の確立 120
      4 ロシアと国際連合 123
          世界平和創出・維持の普遍的機関 123 
          地域紛争に対する平和支援作戦 126 
          制裁措置決定・運用の厳格化 128 
          最近十年の国連活動の成果 130 
          国連・安保理の改革 132

第3章 ロシア外交政策の地域的方向性 137
     1 独立国家共同体(CIS)との関係 138
          CIS誕生と加盟国間の遠心力 138 
          CIS発足の歴史的意義 142 
          CIS統合の二軌道戦略と統合化モデル 143 
          二国間関係重視へ政策転換 146 
          統合プロセス発展の客観性 148 
          CIS加盟国の機構改革と“簡素化” 149 
          地域紛争とロシアの平和維持活動 151 
          ナゴルノ・カラバフ紛争等の政治解決 152
     2 ロシアと欧州 157
          ベルリンの壁崩壊と新欧州パリ憲章 157 
          統一欧州建設という理想と現実 159 
          欧州各国との二国間関係の発展 161 
          OSCEの潜在的能力 163 
          OSCE弱化をねらうNATO 166 
          「欧州会議」加盟とロシアの貢献 167 
          NATOユーゴ爆撃と欧州会議 170
          ロシアの対EU構想 172 
          EUパリ首脳会議と欧州安全保障問題 174 
          ロシア・NATO関係の転換点 176 
          旧ユーゴ・バルカン情勢を握るコソヴォ情勢 178 
          平和と安定のための欧州・地中海憲章 179 
          「北方次元」構想とロシアの潜在的貢献力 181 
          ポーランドとバルト三国のEU加盟問題 183
     3 ロシアと米国 185
          安全保障に関するロ米共同宣言 185 
          戦略兵器削減・大量破壊兵器不拡散問題 188 
          国際安全保障とロ米パートナーシップ 191 
          ロ米経済協力の強化 194 
          「冷戦」遺産の克服と実利的協力の哲学 196 
          「ロ米の新関係に関する共同声明」 200
     4 アジア・太平洋地域におけるロシア 202
          アジア地域統合と不安定要因 202 
          アジア外交の新路線 204 
          ロシア・中国善隣友好条約 205 
          戦略パートナーのインド 206 
          ロ日国境線画定の六条件 208 
          対朝鮮半島政策での建設的役割 210 
          インド・パキスタン対立と核問題 211 
          アフガニスタン情勢回復は長いプロセス 212 
          重要なパートナー、イラン 214 
          ARF加盟と「太平洋合意」宣言構想 214 
          アジア・太平洋地域経済統合とAPEC 216 
          「上海5機構」「上海協力機構」の設立 218
     5 中東と北アフリカ 220
          中東・北アフリカ諸国との関係修復 220 
          中東和平プロセスの推進 222 
          湾岸諸国の安定とイラク問題の解決 224
     6 中南米・カリブ海諸国 227
          経済発展・市場化改革と地域統合 227 
          対中南米外交での二国間関係の重要性 229 
          安全保障と平和創出のパートナーシップ 231 
          キューバ封鎖解除と関係完全正常化 232 
          通商・経済関係発展に向けた課題 233
     7 ロシアとアフリカ 236
          平和と安定のための多国間・二国間関係の発展 236 
          通商・経済関係発展の最適モデルの確定 237

第4章 これからのロシア外交 239
     1 外交と経済―九〇年代の新たな結合 240
          「経済外交」の重要性 240 
          主要先進国会議(G8)への参加 242 
          世界貿易機関(WTO)加盟問題 242 
          パートナー国間の通商・経済、投資協力 244 
          対EU通商・経済、投資協力の重要性 244 
          輸入制限および反ダンピング政策 246 
          APEC加盟でロシア経済はさらにオープンに 249 
          ロシアの投資環境整備と社会構造改革 251
     2 ロシアの諸地域と外交 253
          「連邦主体」対外政策の権限策定 253 
          (準)地域レベルでの多国間協力関係の推進 255 
          CISの地域協力関係 258
     3 外交と文化 260
          「科学・教育・文化活動家委員会」の設置 260 
          CIS加盟国との文化交流プログラム 262 
          ユネスコとの協力事業 263
     4 「外交手腕」から「外交学」へ 266
          外交活動における知的要素の向上 266 
          「分析委員会」の設置 267

むすび 269
     外交メカニズムの「常数」と「変数」 269 
     グローバリゼーション時代の外交学 271

訳者あとがき 275
原注―283


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