中国語文法学事始
『馬氏文通』に至るまでの在華宣教師の著書を中心に

[著者]何群雄

キリスト教宣教師は中国語文法を、どのように構築しようとしたのか。それを中国人はいかに受け入れていったのか。『馬氏文通』以前の在華宣教師の中国語文法書を綿密に分析し、学説史に新たな視角を切り拓く労作。

定価=本体 2,300円+税
2000年12月25日/A5判並製/190頁/ISBN978-4-88303-072-9



[目次]

 序章 問題の提起 009
     1 通説 009
     2 反論 010
     3 通説が生まれる歴史的背景 010
     4 先行研究 014

第1部 18世紀以前のカトリック宣教師の中国語文法学の研究 019
 1章 中国語文法学事始 021
     1 「虚字」を中心とした古代中国人の文法研究 021
     2 中国語文法書が必要になるころ 022
     3 「七芸」を持つ人間の出現 024
     4 マカオのサン・パウロ学院 026
     5 マニラのスペイン托鉢派宣教師 029
     6 初期中国人留学生と文法学研究とのかかわり 033
     7 ナポリの「文華書院」 037
     8 18世紀以前の中国語文法書について 038
 2章 F.ウァロ及びその『官話文典』 043
     1 著者と編者について 043
     2 本書の構成 045
     3 著者の中国語に対する総合的認識 046
          1)文法のないことば 046
          2)文体と待遇表現
          3)発音とローマ字表記について 049
     4 品詞論
          1)格について 051
          2)名詞、形容詞 052
          3)代名詞 056
          4)動詞 056
          5)その他の品詞 059
     5 構文について 061
     6 継承関係 061
 3章 J.-H.-M.deプレマールおよびその『中国語ノート』 063
     1 天と儒との間(小伝) 063
     2 『中国語ノート』原稿の流れ 064
     3 『中国語ノート』の内容について 065
          1)序文 066
          2)口語文の部 068
          3)文語文の部 078
          4)ラテン化か、中国化か 079

第2部 19世紀プロテスタント宣教師の中国語文法研究 081
 4章 布教勢力の転換 083
     1 布教事業の再開 083
     2 継承と差異 084
     3 主な文法書のリスト 085
 5章 R.モリソンとその『通用漢言之法』 089
     1 プロテスタント中国伝導のパイオニア(小伝) 089
     2 中国語研究に関する多くの事績 090
     3 「実用文法」について 093
     4 GRAMMARの範囲 097
     5 品詞論と統語論 098
     6 性数格、時制、述法などについて 100

 6章 J.マーシュマンとその『中国言法』 103
     1 インド在住の中国語『聖書』の翻訳者(小伝) 103
     2 著者の中国語学習暦及び『中国言法』の執筆経緯 104
     3 「漢文文法」 105
     4 マーシュマンの漢字論 107
     5 東洋と漢字 111
 7章 J.エディキンズの中国語研究 115
     1 最後の大家(小伝) 115
     2 口語に対する認識 117
     3 ARTからSCIENCEへ 119
     4 ユーラシア大陸民族・言語同源説 122

第3部 宣教師とかかわりのある晩清中国人の中国語文法学の研究 129
 8章 晩清学者畢華珍について 131
     1 畢華珍の生い立ちについて 132
     2 文法学についての畢華珍の見解 133
     3 古代中国人の「虚・実・死・活」についての論述 136
     4 宣教師の「虚・実・死・活」に対する研究 140

 9章 『馬氏文通』とイエズス会 145
     1 除匯公学 145
     2 『拉丁詞芸』、『拉丁文通』、『馬氏文通』 146
     3 品詞8文法とPARTICIPIUM 149
     4 「文同理同」について 153

 終章 中国語学「近代化」の道程 157

注 167
参考文献 185
あとがき 190


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